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乱世の確率事象改変
長い乱世の入り口に
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俺を見る朱里。背筋が凍るようだからやめてほしい。どうやら何か二人の気に障ったか。
「はぁ……。話を戻しますが私たちからの黄巾の輩への対処は明日、他の皆さんも含めて詳しく話し合いましょう」
「わかった」
「では秋斗さんから何かありませんか?ほら雛里ちゃん、機嫌直して」
 朱里が声をかけると、まだ少し睨んでいるがこちらは向いてくれた。
 そういや二人にはあれを話しておこう。
「今日聞いた話だしまだ正式に決まったわけではないが、幽州と烏丸で戦が起こるぞ」
「はわわ!」「あわわ!」
 久しぶりに聞いたがやはり『はわあわ』は胸にグッとくるな。
「二人ならわかるだろ?奴等は時機を計ってたんだ。内地の賊に手間を取られて手薄になるのをな」
「……公孫賛様もそのつもりでずっと用意していたんですね」
 すっと目に光を宿して聞いてくる。さすがに天才軍師と呼ばれるだけあって切り替えが速い。
「あぁ、桃香が義勇軍を立てたおかげでうまく牽制できてたようだが……」
「攻めてくるなら暴動が起こってからでしょう」
「最大の好機を逃してくるとは思えませんし」
 それぞれの頭の中では目まぐるしく今後の計算が為されているだろう。
 二人に話してよかった。きっとすでに先の先まで見通してるに違いない。
「まあとりあえず今は俺たちに出来ることをするしかないか」
 コクリと頷く二人。
 それから俺たちはいろいろな話をしつつ夕食まで過ごした。
 仕事を最後まで終わらせてなかった俺は夜遅くまで愛紗に説教されるはめになったが。


 †


「これより会議を行う。何か急を要する件はあるか」
 私の問いかけにすっと手をあげ、意味深な笑みを深めて立ち上がる美女、名は張純。
「件の黄巾の輩がついに揚州のとある街を襲撃したそうです」
 室内の皆が息を飲む。しかし張純は落ち着いた声で先を続けた。
「官軍が動いたのですが倍以上の人数を有する奴らに敗北したようです。報告を聞いた上層部は直ちに黄巾の輩を賊と認定、各地を治める有力者は此れを討伐せよ、とのことです」
 予想はされていたがやはり事実として起こったのを聞くと不快感が胸にこみ上げ、無意識に眉間に皺を寄せてしまう。
どうにか心を落ち着けて張純に一つ頷いて話し出す。
「ご苦労、張純。皆、知っていると思うが我らには黄巾の他にも烏丸という宿敵がいる」
 言ってから室内を見回すと皆、真剣な目で話の続きを待っている。様子をみるか。
「烏丸に加え黄巾とも戦闘、となるとこちらの状況も厳しいものとなる。そこで劉備義勇軍には我らの代わりに黄巾の討伐に向かって貰いたい。こちらの兵は烏丸のほうに集中したいからな。それに騎馬での戦いは私たちしかできないだろう。不足の兵力があれば言ってくれ。厳しいが、できる限りは捻出する」

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