長い乱世の入り口に
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ようなものがあり、事が起こった後に合流されるとやっかいなことに……」
ついに始まったか。
黄巾の乱。乱世の、三国志の始まりともいえる超特大規模の民の反乱。筆頭は張角。だが……
この世界では元の世界の常識は通用しない。なんせ有力者はほとんどが女性だったりするのだから。それに時期が違う。黄巾は劉備が公孫賛のもとへ行く前だったはず。
歴史の流れが違うならよけいな事はせずにその場その場で対処していくのが得策だろう。下手に歴史知識を出して自分たちが大惨事になったら目も当てられないのだから。
くそっ!何が『三国志とちょっとだけ違う』だ、あの腹黒少女め。
見ろ。俺の目の前にいる軍師達はこんなに可愛い。
扇からビームも出さないし、ひげもじゃ仙人でもないぞ。
「秋斗さん?」
いつもの如く思考が脱線してしまった。俺が物思いに耽っているのを不思議に思ったのか朱里が首を傾げて見つめてくる。
「む、すまない。ちょっと考え込んでしまった。二人は今の状況からどう動くつもりなんだ?」
「こちらから動くことはまだ必要ないかと。出来ることは各地の自警団同士の連携の強化の呼びかけと……」
「軍からの駐屯兵の派遣くらいでしょうか。幽州にはまだその集団は確認されていないので調べるのにも時間がかかりますし」
質問を投げてみると交互に、簡潔に説明してくれる。それならばこちらの考えも伝えとくことにしよう。
「ふむ……確か今は豫洲あたりで頻繁に目撃例があがってるんだっけか。件の集団が宗教集団で教祖に追随してるようなら、その二つはまだ余裕で強化できる時間はあるかもな」
「どうしてですか?」
「あそこは厳しい人がいるからなぁ。その影響で少しだが民の不満も和らいでいるらしいし」
「陳留刺史、曹孟徳……ですか」
その通り。なんでもお偉いさんに一発きついのをかましたらしいしな。豪族や他の政治屋からの反発もあるらしいが皆腰が引けてるともっぱらの噂だし。
一回くらい会ってみたいもんだ。俺が、いや徐公明が仕えるはずだった人物に。
「秋斗さんは曹操さんのことをずいぶんと評価なさっているんですね」
「ん?あぁ、この前白蓮が曹操の事を話しながらすごく褒めててな。まあ、褒めた後落ち込んでたが。あいつは自分を低く見る癖を直さないと。頭もいいし可愛いし、太守なんだからもっと自信を持てばいいのにな」
先日の白蓮の様子を思い出してつい苦笑が漏れる。
比べて私は……と陰鬱としたオーラを撒き散らしていたからな。
「……」
潜りかけた思考を打ち切って彼女達を見ると、何故か雛里が俺をじとっと睨んでいたので、
「ど、どうした?」
「なんでもないでしゅ!」
聞いてみてもプイとそっぽを向かれる。何この子撫でたい。
「秋斗さん……」
残念なものを見たかのような目で
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