第一物語・後半-日来独立編-
第五十九章 解放《4》
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もそれだけじゃ駄目なんだ」
これは告白だと、誰もが思った。
それは奏鳴も同じだ。
誰もが聞いて、誰もが見て。
そんななかでセーランは告白した。
「ずっと側にいてほしい。悲しい時も、怒った時も、迷った時も、どんな時でも。
可愛いから誰にも渡したくない。気持ち悪いだろうけど」
一拍置き、
「笑った表情、まだ見てないんだ。素で笑う笑顔が見たくて、そしたら幸せにお互いなれるから。
なんて言えばいいのか分からなくなったから、こう言うけど」
と、息を吸う。
自身を落ち着かせるために。
よし、と一言、続きを始める。
「俺はお前が好きで仕方無い。だから返事を待ってる」
解放が進むなか、セーランは唯一の手を奏鳴に差し出した。
この手を掴み返すことで、告白の返事を判別するのだ。
掴み返したら告白は成功。
掴み返さなかったなら告白は失敗。
解り易いものだ。
これが最後になるかもしれない。
自身の身体を見れば解る。
身体からは解放によって分解された組織が、光となって上へと上がっていく。始めは数ヶ所だったか、今では差し出した左腕の上腕部分は殆ど光に包まれている。
何処もそんな感じで、残された時間は本当に限り無いものだと知る。
消えるのは何時か。
今か、数秒後か、告白の返事が貰えた時か。
解放の速度が早くなってしまえば、時間の問題では無くなる。
その時点で消えてしまうだろう。
そうなる前に、最後の告白の一言として。
「今この世界で奏鳴を永久に愛せるのは俺だけだ。だから来い。弱いお前が抗い、疲れたその身体を、癒えないその傷を癒せるのは俺だけだ。
もう迷わせない。側に俺がいるから」
一人で苦しむのは止めよう。
それではもう何も償えない。
苦しんで、悲しんで、その先に何があった。
もう強がらなくていい。もう無理をしなくていい。
生きることから逃げないでくれ。
死んでしまえばそれまでだ。
これから得る筈だったものを放棄し、あの世へと逃げ出すことだ。
側にいる。
ずっと、ずっと、ずっと。
お願いだ。この手を――。
●
奏鳴は分からないままでいた。
この胸の鼓動はなんなのか。
彼、セーランの声が向けられる度に、反応を示すかのように鼓動が強くなる。
何時からこうなったのかも分からなかった。解放の影響なのだろうか。
分からない。
教えてほしい。この鼓動はなんなのか。
差し伸べられたセーランの手が前に、自分の返事を待っている。その手を握り返せば、告白を受け入れたということなのだろう。
よく分からない人だ。だけど、いい人だ。
なのにこちらの気持ちは何かにつっかえたように言えず、無言の状態が続いた。
何か返事をし
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