第一物語・後半-日来独立編-
第五十九章 解放《4》
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黄森の覇王会会長と日来の覇王会会長が相対している。
日来の覇王会会長の後ろには辰ノ大花の覇王会会長がいて、彼女を守るように日来の覇王会会長であるセーランは立っている。
セーランと相対したいる黄森の覇王会会長の央信は、尖った目付きで二人を威圧するように見詰める。
戦いは激しさを弱め、彼ら三人の掛け合いを見ていた。
これが、事態の最後に繋がるためだからだ。
辰ノ大花の覇王会会長である奏鳴は、動いていなかった口を勇気を持って動かした。
「確かに私は、黄森の、社交院の者を殺した。暴走したのも本当だ。――だが」
と、付け足すように言い。
「何故会議の場に、央信……お前はいなかった」
眉間にしわを寄せる央信。
なんらかの反応を見せ、セーランはそれを見過ごさなかった。
何かあることを悟った。
「冷静に考えればおかしいことだ。黄森は織田瓜家を中心とした地域。幾ら織田瓜家に両親がいないとはいえ、辰ノ大花に委伊達家が必要なように、黄森には織田瓜家が必要だ。
国力強化という重要な会議に、織田瓜家であるお前がいないことはおかしなことなんだ」
お願いだ、答えてくれ。
「何故お前はいなかった。どうしてあの会議の場には、社交員しかいなかったのだ」
言いたいことは言った。
今までは言えなかった、反抗的な言葉を。
この状況ならば言える。
だから言った。
言いたいことを言ったからか、少し気が緩んでいることに気付く。
しかし息付く暇無く、反論の言葉が返ってきた。
「今更何を言おうと、お前の解放は決まっている。それにな、全てお前が悪いではないか」
「一体何を」
苦し紛れに出てきた言葉なのか。それともこうなることを想定し、準備された言葉なのか。
どちらにしろ、奏鳴にとっては恐怖だった。
これまでに黄森の恐怖を、委伊達家の一人として知っているがために。
「そもそもお前が竜神の力を抑えることが出来ていれば、家族も、同胞も死なずに済んだ。お前の未熟さが! その未熟さゆえに、今の、今までの事態を生んだのだろう! 人に頼り、力があるにも関わらず、甘えた結果がこれだ!」
罵るように言い放った。
怒りに我が身を奮わせたように、声は大きく、強く響いた。
言葉は続き、他人が入る隙を与えない。
「神人族というだけで誰もが媚びるように頭を下げ、更に地域を納める一族。甘い環境で育ち、甘い考えで考えた結末が解放という終わりだ。他人を攻め、あたかも自身には罪が無いようなことをよく言えたものだな」
「そんなつもりでは」
「私は黄森という地域のため、例え悪魔に命を売ってでも力を得て、この時代を生き抜いてみせる。命を賭ける覚悟はとうに出来ているのだ。
ならばお前はどうだ。命を賭ける覚悟はあるのか! いや、お前などには
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