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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百二十九話:ポートセルミのモンスターじいさん
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通じゃ無かったとかそっちがおかしいだけだからね!
普通かどうかとか、仲間になっちゃえば別にもう関係無いし!
レベル九十九にだってやればなれるんだから、頑張ろうね、スラリン!
一通り話し終えて満足した様子のモンスターじいさんが、思い出したように聞いてきます。
「む、そうじゃ!儂ばかり話してしまったが、ドーラ嬢は儂に用があって来たのじゃったな?済まぬな、モンスターについて語り出すと止まらぬでのう」
「いえ、興味深いお話でした。私の用事は、モンスターの食事のことなのですが」
モモが入るまで、あんまり気にして無かったんですけどね。
スライムとか見るからに雑食っぽいし、ピエールは見た目が人間に近いし。
ドラゴンだって人より耐性は高そうだから、人間が食べられて彼らが食べられなさそうなものが、あるような気がしなかったというか。
だけどモモは、猫科っぽいからなあ。
前世の世界だと、猫にあげてはいけない食べ物がいくつかあったし。
ネギ類とかチョコとか青魚とか、覚えてる範囲のものは避けて、食後に念のためキアリーかけてみてたけど。
前世の常識がこっちで当てはまるとは限らないし、そもそもモモは猫じゃなくてキラーパンサーだし。
わかるものなら、きちんと確認しておきたい。
本当は食べても大丈夫なのに、勘違いで食べられないとかそれも可哀想だし。
「ふむ。モンスターの食事は、イナッツ嬢が管理しておるでの。それならば儂よりも、彼女に直接聞くが良かろう」
「……えーと」
それは、オラクルベリーに行けってことだろうか。
ルーラも無いこんな世の中じゃ、簡単に行こうと思っても行けないし、あってもヘンリーによってあっちは出入り禁止されてるんですが。
「では、呼んでくるゆえ。手が空いておらねばすぐにとはゆかぬであろうが、何、そうはかからぬであろう」
「え?」
「では、少々待っておられよ」
止める間も聞く間も無くモンスターじいさんが席を立ち、奥へと入って行きます。
「え?……え?」
「……出張。するかもとか言ってたな、イナッツさん。そう言えば」
「……そうだけど。まさか、そんな。いま言って、すぐとか」
混乱する私に、思い出したようにヘンリーが呟きますが。
ルーラも無いのに、まさか、そんなね?
と、思い浮かんだ可能性を現実的な思考で否定する私たちに、奥から明るい声がかけられます。
「ドーラちゃん、ヘンリーくん!お久しぶりね!」
……現実的な思考と言うものは、その世界の常識をきちんと把握して無い限り成り立たないものなのだと、改めて思い知りました。
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