女一匹、決意の装束
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れた表情に。
面白いものしか映らない漆黒の瞳に映る、美しい緋色を見て。
ショウは言葉を失った。
「・・・」
息を切らして倒れていたエルザに、アルカの言葉が届いたのか否かは解らない。
が、エルザは歯を食いしばり、よろ・・・とよろけながらも立ち上がった。
それを見た斑鳩が笑みを崩さずエルザを見つめ、エルザは歯を食いしばったまま斑鳩を睨みつけ、
「!」
晒と袴に換装した。
赤い地に揺れる黄色い炎のような模様の袴。
両手には全く同じ刀が1本ずつ握られ、緋色の髪はポニーテールに結えられている。
(何だ?あの鎧・・・装束は・・・)
目に涙を浮かべ、身体を小刻みに震わせたまま、ショウはエルザを見つめる。
強い意志のこもったエルザの目は真っ直ぐに斑鳩を見ていた。
そして、斑鳩は衝撃の事実を放つ。
「何のマネどす?その装束からは何の魔力も感じない。ただの布きれどす」
「ただの布きれ!?」
斑鳩の言葉にショウの涙が引っ込み、代わりに目が見開かれる。
が、エルザは何も言わず、ただ沈黙し続けた。
「あれだけの剣閃を見せてあげたのに、うちも舐められたものどす」
今まで崩れる事のなかった斑鳩の笑みに、ピクッと怒りが表れる。
「姉さん!!!どうしたんだよ!!!まだ強い鎧はたくさんあるんだろ!!!姉さんはもっと強いんだろ!!!」
床に両手をつき、ショウが吼える。
アルカは何も言わず、強く佇むエルザを見つめるだけだ。
そしてゆっくりと、エルザの口が開かれる。
「私は強くなどない」
―強くなんか・・・-
「1人が好きなんだ。人といると逆に不安になる」
8年前、幼きエルザはグレイにそう言った。
「じゃあなんで1人で泣いてんだよ」
そう返され、エルザは少し目を見開いた。
―目の前で大勢の仲間が死んだ・・・-
―大切な人達を守れなかった―
―そして・・・-
自分を庇って死んだロブの姿が。
自分が魔法を使った事に歓喜するショウ達の姿が。
そして、自分を抱きしめアルカとは違う、歪みきった笑みを浮かべるジェラールの姿が。
エルザの脳裏に、浮かんで消える。
「泣いてなどいない」
エルザは必死に強がり、その場を立ち去る。
グレイはその後ろ姿を見つめていた。
エルザの眼帯をしていない左目には、涙が浮かんでいた。
―私はいつも泣いていたんだ―
―強く・・・より強く自分を見せようとー
―自分の心を鎧で閉じ込め―
―泣いていた―
「弱いから、いつも鎧を
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