女一匹、決意の装束
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キッと音を立て、崩れた。
「殿方の前でそんな格好では身もしまらないでしょう?どうです?そろそろ最強の鎧を纏ってみたら」
斑鳩の余裕は崩れない。
変わらず笑みを湛えているし、その表情に焦りや戸惑いは一切見られないままだ。
「バ・・・バケモノめ・・・」
「ギルドの女2大怪物の1人をここまで圧倒するたぁ・・・スゲェもんだな」
ショウが震えながら呟き、アルカは感心に似た言葉を発する。
言うまでもないだろうが、ギルドの女2大怪物のもう1人はティアだ。
・・・余談だが、上記の件はクロスに言ってはいけない。知られたらあのシスコンが黙っちゃいないからだ。
(にしても、かなりの余裕だな・・・絶対ティアと会わせちゃいけねぇ。アイツはこういうタイプ嫌いだし・・・マジギレすっぞ)
アルカが全く関係ない事を考えている中、エルザは自分の持つ鎧の中で最強クラスの物に換装する。
「この姿を見て立っていた者はいない。後悔するがいい。『煉獄の鎧』換装!!!!」
棘棘が肩をはじめとして鎧中についている鎧・・・煉獄の鎧。
それを見た斑鳩は厚底の下駄を1つ鳴らし――――――――
――――――――桜の花弁を宙に舞わせ、一閃。
刹那・・・煉獄の鎧は、舞い散る桜の花弁の如く、舞い落ちた。
呆然と驚愕するエルザの目は見開かれ、その口から血が零れる。
(勝てない・・・姉さんじゃ、勝てない・・・)
その姿を見たショウの目には涙が浮かび、ガタガタと震えだす。
「それが最強の鎧どすか?」
斑鳩が横顔を見せたとほぼ同時に、エルザはドサッと倒れ込む。
「お解りになったでしょう?どんな鎧を纏おうが、うちの剣には勝てませんよ」
キィン、と。
既に耳に馴染んでいる金属音を響かせ、斑鳩が刀をしまう。
「諦めなさい」
斑鳩の言葉が、静寂に響く。
ふとショウは隣に座るアルカに目を向け、その腕を掴んだ。
「お、お願いします!姉さんの代わりに、あの女を・・・!」
「断る」
「どうして!姉さんは仲間なんじゃ・・・」
「お前は」
ショウの言葉を遮り、アルカはショウに目を向ける。
その表情は面白いものを追っている時の歪んだ笑みでもなく、本人は至って真面目だがそう見えない表情でもなく、本当に真剣なものだった。
「お前は『8年前の』エルザしか知らねぇ。俺は『8年間の』エルザしか知らねぇ。お互いに知らないエルザがいる。だがな、アイツがギルドに入ってどれだけ頑張ってたか、お前は知らなくても俺は知ってる。俺の知ってるアイツは・・・あんなトコじゃ終わらねぇよ」
その強い感情が込められた声に。
エルザを信じる、という強い決意が込めら
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