暁 〜小説投稿サイト〜
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#01 三人の出会い

前書き
中天に架かる巨大な月が、深い森を水底のように青く染め上げている。
そのなかをまっすぐに飛ぶ二つの緑の影。

…シルフだ。

その内の一方は補助コントローラーを使っているのか、速度が少し遅い。
もう一方が急かすようにその周りを飛んでいる。
どうやら何かから逃げているようだ。

…たぶんサラマンダーだ。

元々仲の悪いサラマンダーとシルフだが、ある事件でさらに仲が悪くなった。
狩場で出会ってそのままバトルなど、よくある光景だった。
だから今回もそんな感じだろうと予測していた。
そして…

その二人に、一筋の赤い火矢が襲った


やはりサラマンダーだ。
しかも重装備のランスが五人。
どう見てもシルフの方が不利だ。


……シルフが残り一人になったら助けに行こう


いつもの私なら真っ先に駆けつけていただろう。
しかし、今の私はネガティブ思考の悪循環に陥っている。
このまま行っても足手まといなだけだ……


……だからって見捨てるの?


そんな思考が浮かび、私はさらに暗くなる。
思考のループに陥ることは昔からあった。
不明な点に対して、現実の行動を放棄までして思考の渦にはまる。
簡単に言うと、「ぼーっとする」
少し面倒なこともあったが、そのせいで気持ちが沈んだりはしなかった。

あの時までは。

……私には何も出来ない。

ずっと、そう言い訳をしてきた。
ずっと……ずっと……

2年前の、あの時から

………………
…………





ぼーっとしている間にも世界は動く。


いつのまにか、シルフの女の子とサラマンダー四人が目の前の少し開けた場所で対峙していた。

シルフの少女は武器を構え、迎え撃つ態勢のようだ。
四対一はキツイだろうに…

「デスペナが惜しく無けりゃかかってきなさい!」



……さて、と。

ネガティブ思考から戻ってきたので、手助けに行こうか。

そう思って木の枝から飛び降りる。

それと同時に……


「………わぁああ!?」

黒衣の少年が私のすぐ横に、頭から飛び込んできた…
前書き


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