第一章 王国の英雄3
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んな気持ちが心に重くのしかかり、俺達は王国の勝利を心から喜ぶ事は出来なかった。
突然フレッグが気晴らしに行こうか?と言い出したので、共に街へ出ることにした。
街では戦勝気分が抜けないらしく、特別セールやら見世物やらが多く視界に入ってくる。
明るいこの街は俺達を嘲笑うかの様に何処までも追いかけてくる。
そんな街に嫌気がさし、テルーノ平原へと身を躍らせる。
少し涼しい風が髪を揺らし、暖かい陽の光が身体を包み込む。
「静かだな。」
フレッグが気怠そうに呟いた。
「あぁ。」
正直、二人ともここから動きたくないらしい。
寝転がったまま日が沈むのを眺めている。
そのまま二人の瞼はおもりのように重たくその目を塞ぐのだった。
肌寒い。
辺りでガサッという音がし、目を覚ます。
隣にはフレッグが口を開けて熟睡している。
俺は立ち上がり、音の原因を探した。
帝国軍かー??
脳裏に燃え上がる村がよぎる。
悪い考えを自分で消し去ると再び辺りを見渡してみる。
音の原因はそう遠くない場所に転がっていた。
巨漢だ。
文字通り大の字になって寝ている。
慎重に肩を揺すってみる。
すると男が動いた。
「ぅん?だれだぁ?」
目を薄らと開けてこちらを眺めている。
「お前は…どっかで…」
男は小首を傾げて考え込むが、直ぐにこちらに向き直って大声を張り上げた。
「モルル大会の優勝だろ!お前!」
巨漢には似つかわしく無い様なキラキラとした目で見つめてくる。
あまりの声の大きさと、にじり寄って来る男に押されて、俺はその場に尻餅をついた。
第三話 (完)
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