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ソードアート・オンライン《風林火山の女侍》
弐:攻略前
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「……できれば、使いたくなかったですが……早く終わらせたかったですし」

セリシールはそういうと緊張からか少し息を吐き出した。

「見世物じゃねぇぞ、散れ、散れぇ!!」

セリシールが相手にもしていないクラディールはよろけながら立つとギャラリーにそう喚いた。そしてセリシール、キリト、アスナの方をゆっくり振り返る。

「貴様……殺す……絶対に殺す……!!」

SAOのオーバー表現を引いても迫力のある憎悪の浮かんだ三白眼はモンスター並だった。ソロで名の通っているキリトですらぞっとしたような表情を一瞬浮かべたがセリシールはそれすらも流し、どこ吹く風のようだ。それに気付いたのかクラディールはさらに怒りをまし眼力を強める、がその前にすっと歩み出た人影が。

「クラディール、血盟騎士団副団長として命じます。本日を以って護衛任務を解任、別命があるまで本部で待機。以上」

アスナのその声は何の感情も入っていない、機械のような冷たさを持っていた。この声には短くもない付き合いのあるセリシールでさえぞくっと感じたのか息を呑んでいた。

「なん……だと……この…」

街中にも関わらず斬りかかってきそうな勢いだったがどうにかそれを抑えたらしくギャラリーを無理やりどけて転移門に移動しどこかへと転移していった。それを皮切りにクラディールの毒気に当てられたような群衆も散り散りになっていき最後には当事者の3人が残った。

「ごめんなさい、面倒なことに巻き込んで」
「いや……俺はいいけど、そっちは大丈夫なのか?」
「……私は売られた喧嘩を買っただけですけど……血盟騎士団にはご迷惑を…」
「あ、セリーは気にしないで。今のギルドの空気は無理やり規律を押し付けたわたしにも責任があると思うし……」

申し訳無さそうにセリシールが顔を曇らす。が、アスナはそれでも弱弱しくだが笑みを浮かべて見せた。

「それは仕方ないよ。あんたがいなかったら今みたいに攻略は進んでないしな。俺みたいなソロがいえることじゃないけど…えっと……だから、あんたもたまには俺みたいなイイカゲンなのとパーティ組んで息抜きしたって誰も文句言えない…と思う」

しどろもどろになりつつキリトはそういうと、ぽかんとした顔でアスナは瞬きを繰り返し、苦笑を顔に浮かべた。でもさきほどの弱弱しい固い笑みではなく緩んだ安心したような笑みだった。

「…ま、ありがとうと言っておくわ。じゃあお言葉に甘えて前衛ヨロシク」
「……頑張ってくださいね、キリト」

勢いよく立ち上がり、外へ続く道をすたすたと歩き出すアスナに続いて、セリシールもクスリと笑ってアスナに続いた。

「へ、ちょっ!前衛は普通交代だろっ!?」





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