弐:攻略前
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いなく風林火山に迷惑がかかるというのを今更ながらに自覚したのだ。だが、アスナはそんな予想を裏切り小さくコクンと頷いた。
「……いいんですか?問題になるんじゃ…」
「大丈夫、団長には私から報告する」
その言葉を聴いてセリシールは承諾のボタンを押し、オプションを選択した。それが受理されるとその下に60秒のカウントダウンを示すデジタル時計が動き始めた。クラディールは芝居がかった仕草で剣を抜くがそれを無視して、ある程度離れてからセリシールは中段に腰を落として鞘を腰に持ってきて刀を構える。武器の重さ、筋力値からすれば装備ギリギリのセリシールよりも向こうのほうが有利、さらに武器も装飾の差は圧倒的に向こうが勝っている。
「風林火山の副リーダーと血盟騎士団がデュエルだってよー!!」
互いに距離をとると野次馬の一人が声を上げ始めた。その間にもカウントダウンは進んでいき、セリシールは深呼吸をして意識を右手と下半身だけに集中させた。敵の構えからソードスキルを推測しそれに対応する、というのが攻略組には必須の能力だ。
そして紫の閃光と共に【DUEL!!】と文字がはじけた瞬間にクラディールの《アバランシュ》が発動し、一気に加速してくる。それとほぼ同時にセリシールの構えからソードスキルが、ズバンッとすさまじい何かが破裂する音がしたと思ったらセリシールはその大きな太刀を振りぬいた状態でクラディールの後方に立っていた。
「……なっ……」
「……」
無言でそのまま刀をいつものようにカチンと納めるとほぼ同時にデュエル終了と勝者の名前を告げる紫色の文字列がフラッシュした。WINNERとして出たプレイヤーの名前は――
「セリシールの…勝ち、か」
誰かがぼそっとその名前を呟いた。だが大半のプレイヤーは何が起こったかがわからない様子でざわざわとしていた。
セリシールの放ったソードスキルは《疾速》という超スピードで斬り抜けるソードスキルだ。欠点があるとすればそれはスキル最大の武器でもあるスピード。セリシールが一瞬消えたかと思うほどに速い。そのせいで窮地に陥ったことがセリシール自身も何度かあるほどだ。だが今のセリシールはそのスピードを完全に自分のものとし、アバランシュでの攻撃のわずかな隙間を狙い一閃した、というわけだ。
「………」
「……なん、だと……この、私が…ま、負けるなどぉ……!!」
セリシールは無言で歩き出し、うずくまっているクラディールには目も向けずアスナとキリトのところへ向かっていく。周りの野次馬は何が起こったのかはっきりと判っておらずこの一瞬の攻防――ほとんどセリシールが何をやったのかということについてだが――について講評しているのを聞き流しているとキリトが訊ねてきた
「なぁ、こんな人前でスキル使ってよかったのか?
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ