四幕 〈妖精〉
1幕
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ーも、呼ばれてしまったものはしょうがない、程度に割り切れるようになってきた。
「フェイ、ダイジョウブだよ。ルドガー、怒ってないから。ね、ルドガー?」
「エルの言う通り。――何か気になることがあったか?」
なるべく優しく声をかける。
フェイはおずおずと、2階客室への階段を指差した。
「イタイ声、イッパイだったよ。……10人くらい。みんな、ユリウスって人にやられたって」
――フェイ・メア・オベローンは時に不思議なことを口にする。当人から聞かねば知りえないはずのこと、知らない土地での危険な場所など。まるで透視か千里眼だ。
そういうことがクエストで何度もあったので、ジュードたちも今はフェイの察知力について言及しなくなった。
ジュード曰く「不思議なことには慣れてる」。
「10対1でボコボコかよ。半端ねえな、おたくの兄貴」
「でも、死人はいない、ですよね?」
エリーゼがフェイを見上げる。フェイは一つ肯いた。
「じゃあわたし、その人たちの治療に行きます。みんなは先に行ってください」
若草色の目は決意で固まっていた。ティポの眉毛も気合にVの字型である。
「じゃあ俺も手伝うとすっか」
「エスコートならローエンがいいです」
「ご指名とあらば」
「……ちぇー。フラれちまった〜」
そんなエリーゼたちのやりとりを聞いて、ルドガーの右隣にいたフェイは、揺らめくように笑んだ。
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