第百六十四話 久々の捕虜交換への道筋
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わ、完全に理想論に彩られたお花畑のような文章でしたわ」
「予も読んだが、確かにそうであったな」
「陛下、殿下、あの様な者達の書をお読みに成られましたか?」
リヒテンラーデ侯が驚きの表情をする。
「敵思想の書物を読むのも一つの戦略よ。“敵を知り己を知れば百戦危うからず”と言うでしょ、尤もあんまり読み過ぎてジークマイスターやミヒャールゼンの様に反帝国活動されちゃ溜まらないけどね」
「殿下、その話を何処でお聞きに成られましたか?」
さしものグリンメルスハウゼンも驚いてしまった。
「えっ、歴史を丹念に調べて行けば自ずと答えは出る物よ」
そう言いながら笑うテレーゼの姿に、グリンメルスハウゼンもケスラーも驚きを隠せない。何故ならジークマイスターやミヒャールゼンに関しては、帝国でも未だトップシークレットと言えるカテゴリーで有ったからであり、この年の皇女に其処まで推測できるとは思っていなかったからである。実際はテレーゼの原作知識が有っただけなのであるが。
「して殿下は、その事を公表なさるおつもりですか?」
「しないわよ、態々今の時点で恥をさらす必要も無い訳だし。使いどころを考えなきゃならないものですからね」
「うむ、テレーゼの言う通りじゃな」
話を変えるためにリヒテンラーデ侯が話す。
「それにしても、貴族でありながらフォンを捨てるとはけしからん」
「フフ、国務尚書、彼等には彼等なりの矜持があるのでしょう」
「しかし、あの者達をこのままにしては、何れ帝国の不安定分子となりますぞ」
「良いのよ。何れ彼等にも判るわよ、理想と現実の違いが」
「しかし」
「父上、暫く放っておいて良いですよね?」
「テレーゼにも考えが有ろうから、国務尚書よいか」
「御意」
こう言われてはリヒテンラーデ侯も是と言わなければならない。
そうなりながら、テレーゼが次の話をし始める。
「それに関連する事だけど、此方としては民主共和制が素晴らしいとほざく方々にどれ程、民主共和制により出来た衆愚政治が愚かで危険な存在かを知らしめるために、トコトンまで同盟を僭称する叛乱軍を利用しまくる為、479年以来の捕虜交換を持ちかけます」
「捕虜交換と共和制にどの様な関係があるのでしょうか?」
「捕虜交換で、叛徒共のイゼルローン要塞攻撃をしようとする意志のガス抜きをするわけですか?」
皆は口々にテレーゼに質問する。
「ガス抜きには成らないわね、此方としては、叛乱政府の非人間性をさらけ出させるために、捕虜交換を持ち掛けるわけだし」
「テレーゼ、其れはどういう意味じゃ?」
「現在、此方には479年に帰還できなかった捕虜が120万、それ以後の戦闘の捕虜が140万、それに貴族が使役している拉致農奴が100万とリッテンハイム、ヘルク
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