第百六十四話 久々の捕虜交換への道筋
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帝国暦485年7月1日
■銀河帝国 帝都オーディン ノイエ・サンスーシ 小部屋
テレーゼの仕掛けた謀略に踊らされた同盟で魔女狩り(スパイ狩り)が大規模に行われ、帝国からの亡命者、その関係者などが大挙して取り調べを受けている事がハッキリした時点で、テレーゼにより会議が提案され関係者が集まった。
出席者は、皇帝フリードリヒ四世、皇女テレーゼ、国務尚書リヒテンラーデ侯、憲兵総監グリンメルスハウゼン上級大将、憲兵副総監ケーフェンヒラー大将、憲兵総監補兼宇宙艦隊司令官ケスラー大将(7月1日昇進)憲兵隊行動隊長ブレンターノ少将が集まった。
皆が集まると早速、挨拶もそこそこにテレーゼが話し始める。
「さて、先だってのヴァンフリート星域会戦で我が軍は多数の捕虜を手に入れましたが、その後の失敗で敵艦隊を撃滅するには至らなかった訳です」
「門閥貴族の指揮官の酷い事と言ったら話しにならんの」
テレーゼとフリードリヒ四世の言葉に、皆ばつの悪そうな顔をする。特にケスラーは申し訳なさそうに恐縮している。
「そなた達を責めているのではないぞ」
フリードリヒ四世がそんな姿を見て声をかけ、その言葉に皆がまた恐縮する。
「まあ、みんなもそんなに恐縮しないで、此からの事を考えましょう」
「此からと申しますと?」
テレーゼの話にリヒテンラーデ侯がどの様な事をと言う顔をする。
「今回の敗戦の影響を考えるに、今までの叛乱軍の行動パターンでは、敗戦すると宇宙艦隊司令長官の権威低下と政府の支持率低下となっていたので、再度の出兵で其れを何とか挽回しようとする事は自明の理でしょうね。しかも来年二月には向こうでは総選挙が行われるようなので、今年中の再出兵は確実と推測されるわ」
「懲りずに、またでございますか?」
合点がいった、リヒテンラーデ侯が迷惑だとばかりに渋い顔をする。
「叛徒共には、民主共和制というお題目がある以上は総選挙成るものをしなきゃ成らない訳だから。例え晴眼帝の頃のように此方から攻めなくても、政治屋が愚民共の支持率を得るためと、軍需産業からの献金やリベートを得るために、軍に命じてイゼルローンに喰いかかって来させるのだから全く迷惑な話よ。今の衆愚政治をアーレハイネセンが見たら、呆れて物が言えなく成るんじゃないかしら」
「……」
テレーゼの話に皆が唖然としている。
「その上、帝国でも未だに民主共和制に憧れて、平民による下からの改革を唱える者達もいるしね」
「カール・ブラッケ、オイゲン・リヒターの事じゃな」
フリードリヒ四世がニヤリとしながら答える。
「ええお父様、彼等は自らフォンを捨て、平民の地位向上と政治への進出をスローガンにしているんですけど、彼等の著書を読んでみたんですけど、流石は頭でっかちな元貴族様です
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