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愛と哀しみのラストショー
第一章
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てこの湖があってな」
 何も変わっちゃいない。俺が生まれた時からずっとこうした姿だ。夏は人が多いがそれでも静かな避暑地だ。
「何も変わりはしないさ。ずっとな」
「だからボートもあるのね」
「まあな」
 ボートも。昔からあった。
「そのままさ。ずっとな」
「そうみたいん。よかったわ」
「よかった?」
「久し振りにここに来たから」
 そしてまたこう言った。
「変わってなくて。嬉しいの」
「そうか」
 何かそう思うのが不思議に思えた。俺にとっちゃどうでもいいことだからだ。ここが変わっても変わらなくても家の商売が傾かなければそれでよかった。そうしたところは親父やお袋と同じ考えだった。
「今度ここに来る時は」
「今度は?」
「ううん、何でもないの」
 どういうわけかここでまた首を横に振った。その理由はこの時はわからなかった。それから徐々にわかってきたことだった。

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