第一章 王国の英雄2
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会場のあちこちから拍手喝采が送られる。
トロフィーを手にした俺は未だに信じる事が出来ず、友をじっと見つめていた。
フレッグは涙の跡を残してはいるが、笑顔をこちらに向けておめでとう!と大きく手を振っている。
師匠が言っていたフレッグの第二試合の相手。
確かに強く、フレッグを見事に負かし決勝まで登りつめてきた。
幸い俺は対した相手とも当たらず決勝まで勝ち進められた。
決勝では何度もヒヤリとする事があったが、初撃を決め優勝してしまったらしい。
らしいというのは未だに自分でも信じる事が出来ないからだ。
閉会式を終え、帰途に着く。
「エル!よくやった!まさか優勝しちまうとはな。教えた甲斐がある!そして、フレッグ。お前もよくやった。とても綺麗な剣技だったぞ。」
師匠は嬉しそうに笑いながらこちらに向かって叫んでいる。
フレッグも悔いは無いのか、有難うございます!と師匠の手を握っていた。
村に入ると宴の準備がされていた。
いつの間にか師匠が使いを送っていたらしい。
普段はありつけない様な豪華な食事だ。
夜も更けて宴の喝采も静まったころ俺はフレッグと共に草原で寝転んでいた。
「なぁ、エル。お前は大人になったら何になりたい?」
「いきなりどうしたんだよ。俺は将軍になりたいな。それでこの国を守るんだ。」
「将軍?お前が?ダメだな。」
「何がダメなんだ?」
俺が聞くと、フレッグはこちらに首を向けてニヤリと笑った。
「エルが将軍になったらこの国は攻め滅ぼされるぞ。」
「お、お前!」
俺はふざけてフレッグの脇腹に向かって肘鉄を入れる。
勿論ふざけてなので入る訳が無いのだが。
お互いに軽口を叩きながら、大地に抱かれて深い眠りについた。
更に強くなった雨が屋根を打ち付けている。
悲願の王都ゲルロス解放を成し遂げたにも関わらずこの部屋の空気は沈んでいた。
共に暮らしてきた親友フレッグの死。
それはエルバート(通称エル)にとって、人生を終えるも同然の事だった。
ギーム、セルナ、エバン。
俺とフレッグと共に戦い続けている仲間。
皆悲痛な面持ちで机に拳を押し付けている。
全ては帝国の侵攻から始まったのだ。
帝国の侵攻さえ無ければー。
そう思った所で何も変わらない事は分かっているのだが、そうでもしないと今すぐにでもフレッグに会いに行くことになるだろう。
一軍の指揮官として。再興軍の指揮官として、そんな真似は出来ない。
なんとしてでも立ち直らなくてはならないのだ。
必死に感情をしまい込み、席を立つのだった。
その日はよく晴れた日だった。
いつもの様にフレッグと共に草原で遊んでいる。
遊び疲れて風にそよぐ草に腰を下ろした。
暫く目を閉じて大地を感じる。
すると突然、遠くで馬の?が聞こ
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