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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百一話 不可知
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た。どういう事だ? 中将が亡命した時は十七歳、四年前だ。その時彼女は十四歳、その時点で彼女の才能を見抜けるのか?
「面識は御有りですか?」
俺が問い掛けると中将が苦笑した。
「帝国では伯爵家の一人娘と平民の息子が親しく知りあう機会など有り得ません。それに、好みのタイプじゃないんです、私はもう少し普通の女性が良い」
そう言うと中将が声を上げて笑った。
「何故彼女の事を……」
中将が俺を見た、そして微かに笑みを浮かべた。
「世の中には不思議な事がたくさんあるのですよ。知らないはずの事を知っている人間がいる」
「それは……」
あの時の言葉だ、イゼルローン要塞で中将が帝国軍に言った言葉……。中将が俺を見ている、冷たい目だ、もう笑ってはいない。背筋が凍るような恐怖を感じた。
「馬鹿な質問は止めてくださいよ、ザックス中佐。マリーンドルフ伯の同行者の件、早めに調べてください。これからフェザーンは騒がしくなる」
そう言うと中将はココアを一口飲んだ。
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