一部【スサノオ】
十七章【試練】
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初
「お前…っ」
いいかけたジャックだが、そのあまりにも凄まじい形相に頭を抱えると、
「…ったく。無茶苦茶な奴と組んじまったもんだぜ。……どうするんだよ零?やるか?」
「俺は…」
ジャックに諦めたような顔を向けられ零は悟る。
やるしかないんだ、と。
「良いですよ。俺にはこのネイティブがどれだけ強いのか分からないですけど……もっと強くなりたいですし…皆がやるのに俺だけ指加えて見ていられないですから」
「…たまに熱血だよな。零は」
苦笑するジャックだが、その心は不満ではない。
むしろ、喜びといってもよかった。
「俺は運がいいんだか悪いんだか…」
零を引き寄せ、無理矢理ジャックを中心に肩を組む。
「ちょっ、ちょっとジャックさん!?」
「いきなりなんですのっ!」
まぁまぁ、と笑うとジャックはふとウォルターへと目を向けた。
「何考えてるかわかんねぇけど…今はその挑発に乗っといてやるよ」
「フフフ、君達なら受けてくれると思ったよ」
「言ってろ…」
そう吐き捨て2人を引きずるように歩き出すジャック。
ティティもウォルター達へと一礼するとそれを静かに追う。
それを黙って見据えるウォルターとユーリ。
最初に口を開いたのはユーリだった。
「確かに…時期尚早ですね。何を考えているんですか?」
「なにも…ただ、彼らには強くなって欲しいだけさ」
「また、彼らは何かの実験サンプル…というわけですか」
嫌みのようなその言葉に、ウォルターはニヤリと笑うとユーリの口を人差し指を押しあて止める。
「人聞きが悪いよユーリ君。僕は僕なりの親切で彼らに試練をかしているのさ。期待の新人として、ね」
「新人はごまんと居たでしょうに…なぜ彼らを」
「それは、まだ君が知る必要が無い事さ。…今は、ね」
そう言い転送を開始するウォルター。
「本当に…読めない人ですね。…博士」
ふっと笑みをこぼしモニターへと目を戻すユーリ。
深く考える必要もない。
ユーリにとっては他人事だった。
利害の一致。それだけが、それだけしか2人の間には無いのだから。
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ