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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
艦長と主計長
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は出世して帝国から出る金髪の死神を退治してもらわないと困るなんて下心があるからで。
 政界転身の為の優遇なんてお題目がカバーストーリーなんて誰が考えられるというのか。

「だが、戦闘はあるのか?
 帝国は内部対立でこっちに出てくる可能性は少ないのだろう?」

「いや、逆だ。
 おそらく、帝国の内政問題から政治的優位を作り出すために出撃するだろうよ」

 ラップの言葉にヤンは首を横に振る。
 近年の帝国の侵攻は失敗が続いているが、その理由に出兵理由が同盟の征服でなく帝国の内政問題に端を発しているからに他ならない。
 彼らにとって、同盟というのは既に征服対象ではなく、勝利する事によって得られる政治得点でしかなくなっている。

「内戦終了後のブラウンシュヴァイク公とリヒテンラーデ公の対立は、ブラウンシュヴァイク公派と見られているシュターデン提督の敗北によってリヒテンラーデ公側に傾いている。
 とはいえ、内乱直後の帝国で再度の内乱なんてすれば国が傾くのは両者とも分かっている。
 だからこそ、リヒテンラーデ公は政治優位を維持継続するために近く出兵するだろうよ。
 イゼルローンに要塞があるからこそのゲームだ」

「ヤンよ。
 その見通しは上には?」

「伝えたさ。
 上も馬鹿じゃない。
 だから、大慌てで艦艇の更新なんてしているんだろうが。
 既に、気になっているデータが上がっているんだ」

 ヤンはモニターを開いて、ある記録をラップに見せる。
 ラップもモニターの数字の意味を理解して顔をしかめる。

「先の会戦後からのイゼルローン回廊での戦闘記録だ。
 見てくれ。
 隊規模、戦隊規模の交戦記録だが、損害率が上昇しているんだ」

「これは……」

 損害数だけ見れば、勝利どころか敗北判定がつく戦いもいくつか存在していた。
 小規模戦闘ではあるが、月間喪失艦艇数は1000隻の大台に乗っており、イゼルローン方面軍もこの状況に対して情報収集を急いでいたのである。

「帝国において野心ある連中は軍に入る。
 そんな野心と才能のある連中が指揮を取り出していると見るべきだろ。
 アルレスハイム星域の会戦からその傾向はあったが、先の帝国内戦でこの連中が艦隊を指揮しだした可能性がある。
 次の会戦、気を引き締めないと敗北しかねないぞ」

 ヤンのつぶやきは現実のものとなった。
 二人の会話から半年後、ティアマト星域にて行われた会戦にて、二個艦隊を投入した同盟軍は一個艦隊の帝国軍に6000隻もの艦艇を失うという大敗北を喫したのだから。
 第3次ティアマト会戦と呼称されたこの会戦にて帝国軍を率いていたのはラインハルト・フォン・ミューゼル中将。
 原作にて同盟を滅ぼした天才がついに本格的に同盟に牙をむ
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