艦長と主計長
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だからこそ、聞くぞ。ヤン
お前、何をやった?」
ヤンは判子を置いて、額に手を置いてうめく。
この友人にどこまで話そうかと考えた矢先、ラップのほうから声がかかる。
「いい。
その時点でおおよそ察した。
話すとまずいたぐいの話しなんぞ俺も聞きたくない」
ヤンの表向きの立ち居地は同盟軍中枢に出世が約束されているエリート士官に見える。
そこから察すれば、やばい話のネタの方向性が現在の国防族議員の中核たる730年マフィアがらみぐらいはラップでも感づく。
「明らかにとある方々より期待されている訳だが、ここから議員先生に鞍替えか?」
「誘いがなかったといえば嘘になるな」
730年マフィアを母体とした国防族系議員の出馬には二つのパターンがある。
一つは軍で勲功を積んで英雄として選挙に臨んで当選する例で730マフィア等はこっちになる。
だが、この出馬だと議員年数が短く、頂点を極めても政策を動かす時間が少ないというデメリットも存在している。
事実、ウォリス・ウォーリックと人形師は頂点を極めたが途中で職を追われる形になり、ファン・チューリンは国防委員長職以上を求めなかったがゆえに三人の中で最も長く政治影響力を行使できたなんて過去が残っていたり。
話がそれたが、軍で出世して出馬というパターンだと政治生命が短くなるのならば、途中で退役して出馬という選択肢が出て来る訳で。
ガラスの壁と言われている少佐の前である大尉で退職し政界に転身、官僚や議員とのコネをつくり頂点へという選択肢がそれである。
主に功績のある親を持つ二世議員が主体で、彼ら国防族エリート議員を最終階級を使って『大尉先生』なんて言葉が同盟政界用語にあるぐらい。
現在プリンスとして活躍しているトリューニヒト氏もこの『大尉先生』である。
「で、何処だ?」
「ハイネセンポリス市議会。
二期勤めると、同盟議会選挙と重なるからそこで鞍替え、更に二期勤めると評議会と重なるからとタイムスケジュールつきで」
「おい。
ハイネセンポリス市議会は去年あったばかり……そういう事か」
何か感づいたらしいラップもヤンと似たような格好で額に手を当ててうめく。
さっきのタイムスケジュールが次期市議会選挙のオファーと気づいたからだ。
そして、そこから書類の違和感に気づくあたりラップも馬鹿ではない。
この優遇は次の出撃において功績を立てろというオファーの裏返しなのだと。
「で、その誘いに乗るのか?」
「断ったよ。
真正面から堂々と。
で、相手はにこりと笑って、そのままだ」
トリューニヒト氏につく緑髪の政策秘書はそのまま退散してくれたが、彼に対する優遇はそのまま残していった。
もちろん、彼に
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