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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
艦長と主計長
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「いただけるならもらっておくさ。
 俺らの戦場は遥か星の彼方だ。
 だがな。ヤン。
 あのキャゼルヌ先輩が実務を取り仕切っている後方勤務本部に横槍を入れて物が取れる。
 お前にもこれが異常なのは知っているだろう」

 予算という数字と国民の税金という文字によって縛られる以上、キャゼルヌがそんな横紙破りを見逃す訳が無い。
 彼は物と法律と情報を操る魔術師だ。
 だからこそ、彼は不正をしないしする必要も無い。
 それを生み出せるし、足るを知るからこそ今の地位と未来の地位が約束されている。
 その彼の王国の横っ面を殴り飛ばした証拠がラップの手から零れ落ちた判子だ。

「ついでに言うと、この編成すらおかしい。
 俺らの乗っている戦艦セントルシアは標準型戦艦だが、俺達の乗艦前に改造によってネットワーク関連と防御を強化された。
 で、指揮する駆逐艦に至っては、最新鋭の第四世代駆逐艦が30隻、残りも第三世代駆逐艦によって構成されている。
 退役を始めたとはいえ、旧型の第二世代駆逐艦が何隻あると思っている?」 

 同盟軍艦艇を考える時、分艦隊規模の警備艦隊(ワープ機能なしの護衛艦も含める)を入れる為に分艦隊単位で物を考える事を主計科では徹底される。
 3000隻の分艦隊単位だと、同盟軍は60個分艦隊を保有している。
 その数180000隻。
 その半分以上が駆逐艦で、第三世代どころか、第二世代、第一世代駆逐艦も現役の所が多いのだ。
 で、先の艦艇更新でフェザーンに有償譲渡される予定なのが第一・第二世代駆逐艦で、更新が終了すると同盟艦艇は全て第三世代以上の駆逐艦で構成されるようになる。
 話をそらすが、ヴァンフリート星域会戦で鹵獲した駆逐艦を主体とした帝国軍の艦船は、そのほとんどが民間に払い下げられた。
 大気圏降下能力がある帝国艦船は、惑星内の都市と衛星軌道上の宇宙港を繋ぐトラックの役割にぴったしなのだ。
 修理され、武装解除されたこれらの船は辺境星系に払い下げられて、経済成長に寄与するのはもう少し先の話である。
 ヤンもラップも長い付き合いだからこそ、あえてラップは口に出す事でヤンにプレッシャーをかけた。

「巡航艦も最新鋭のステンノーUとエウリュアレーVで、艦長はモートン中佐とカールセン中佐。
 二人とも現場に長く居た歴戦のたたき上げだ」

 ライオネル・モートン中佐とラルフ・カールセン中佐の二人は、現場からのたたき上げで士官学校を出ていないが、現場に長く居て老練であるがゆえに現場から求められ続け、防衛大学校で学びなおすのが遅れたという現場主義の人間である。
 そんないぶし銀の二人を補佐につけている時点で期待のほどが伺える。
 
「お前の名前で申請を出して見ろ。
 かなりの無理な申請でも通るぞ。

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