過去編
挿話集
聖燗幻夜A
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予想通り、壁に掛けられた聖像画はボスに何らかの力を及ぼしていたらしく破壊していく毎に大魔法の頻度が減り、防御力も下がり始めた。
それに気付いたメイジ隊が多重詠唱で1つの破壊を試みるが、詠唱途中でニコラウスがヘイトを無視して襲ってきたため遠距離武器の使い手達が破壊の主軸となっていった。
「ラスト二枚!気合い入れろ!!」
「「「おおぉぉぉ!!」」」
先の戦闘で小競り合いをした1団のリーダーパーティーは自軍の遠距離武器使いの被害が軽微と見るや、2団にボスを押し付けちゃっかりその破壊に専念している。
「ボス自体にはあまり貢献出来なかったが、お前らが戦い易かったのは俺等のお陰だぜ」的な既成事実を作ろうとしているのは目に見えているが…………転んでもただでは起きないその執念はゲーマーとしては健全だ。
『ぬぅ……!?』
8枚中6枚のエネルギー源を失い、最初と比べて能力値がかなり下がっているニコラウスは魔法の間隙を突いた全力攻撃を浴びて地に膝を突く。
「今だッ!!この隙に瀕死まで持ってくぞ!」
「「「おう!!」」」
シルフ族領主サクヤの号令でアタッカーが怒濤の攻撃を浴びせる。上位ソードスキルや高位の魔法を雨あられと食らい、ニコラウスは仰向けに倒れながら吹っ飛んだ。
2団面々が歓声を上げた時、後方でも歓声が上がった。見れば7枚目の聖像画が破壊され、残りは後一枚―――
「……ん?」
ふと部屋が揺れたように感じ、視線をボスに戻す。と、そこには―――
「な、なんだありゃ……!?」
クラインが顎が外れたのかと思うぐらい口をあんぐりと開け、宙を見詰めている。立ち上がりつつあるニコラウスの足元からせり上がる影。
体高はニコラウスの半分ほどだが、恐ろしく重厚な金属エフェクトを放つ鎧を身にまとった騎士型Mobが3体。
―《The Trinity knight》
「……また面倒な」
ここに来て中ボスクラス……しかも名前からして3体で一個体。HPは共通だが、それはつまり各個撃破して数を減らすという戦法が取れない。一度に3体の中ボスを相手にしなければならないのだ……。
どうしたものかと思案していると、キリトが隣に並んできて小声で言う。
「……どうする、レイ」
「……何故俺に振るんだお前」
「いや、レイなら『じゃ、俺が適当にボコっておくから皆はボスよろ』って言って行っちゃうかなぁ、と」
「……つまりそれは『行け』というフリか?」
「大丈夫だろ?」
そう言ってあのおどけたような笑みを向け、肩に手の重みが加わる。冗談のように言いつつ信頼を含んだその所作に俺は後頭部をガリガリ掻きながら応える。
「保障しかねるが……まあ、いいか。……貸し一つ……いや二
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