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スペース=ラバーズ
スペース=ラバーズ
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にならないといったら嘘になる。だがそれはワープで通過できる。距離はともかく時間ではもうすぐなのだ。彼女に会えるのは。
 しかし考えてもやはり仕方ないことでもある。ここでまた放送が入った。
「この船は間も無くワープに入ります」
 それを受けて僕は座席を倒した。席をボックスが覆った。そして暗闇の中に入った。そしてまた放送が入った。
「ワープに入ります」
 そしてワープに入ろうとする。船の揺れが激しくなる。僕はそれを感じながら眠りに入った。目が醒める時を楽しみにしていた。僕は夢を見ていた。彼女との楽しい夢だった。その中で僕は彼女と楽しく話していた。それを聞きながら僕は目が醒めるのを待っているのであった。
 目が醒めるともうワープは終っていた。ボックスが開き窓には土星が見えていた。そこにはあの巨大な輪があった。
「あの輪を見るのも久し振りだな」
 僕はそれを見てふと呟いた。三年前あの輪を見たのは地球を出てアリス星に行く時だった。あの時はただ何気無く見ていたと覚えている。
「今見ると違うな」
 僕はそれを見て思った。
「何か懐かしいな。いつも何気なく見ていたのに」
 彼女と太陽系を旅行する時もそうだった。僕はアリスに行くまではこの星の輪を何となく見ていただけであった。だが今は違った。
「また見られるなんて」
 それだけで何か幸せな気持ちになった。僕はそれを見ながら地球に思い馳せていた。ここでまた放送が入った。
「こちら機長」
 またあの機長さんの声が聞こえてきた。
「最終着陸体制に入ります」
 見れば土星は遠くになっていく。火星が見えてきた。
「シートベルトをお締め下さい」
「よし」
 僕はそれを受けてさらにベルトを締めた。そして着陸に備えた。もうすぐだ。
「本日はノースアメリカンスペース航空を御利用いただき有り難うございました」
 機長の放送が続く。
「皆様が地球で素晴らしい日々を送られることをお祈りします」
「有り難う」
 僕はそれを聞いて思わずそう答えた。それを聞いた隣の客がクスクスと笑った。
「御客様、御覧下さい」
 ここで席の前のモニターのスイッチが入った。そして機の前に映る地球が目に入った。
「地球です。どうぞ御覧下さい」
「地球か。やっと帰ってきたんだな」
 僕はそれを見て感慨がこみ上げてくるのを感じていた。
「もうすぐなんだ、彼女に会えるのも」
 宇宙空間を抜けた。そして青い空に入った。
 船は日本に向かっていた。そう、そこに彼女が待っている。
 窓には空港が見えている。そう、今やっと僕は地球に帰ってきたのだ。そしてもうすぐそれを身体全体で味わう時が来るのだ。そして今それが来た。
 着陸の衝撃が機体に走った。そ
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