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スペース=ラバーズ
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「はい。御客様が地球の食べ物を召し上がられたいようですので」
「有り難う。気がきくね」
「いえ」
 彼女は営業スマイルながら嬉しそうに応えてその場を離れた。後にはフルコースと蓋を開けられたワインがあった。僕はまずポタージュを食べた。
「おお」
 紛れもない地球の味だった。カボチャの甘みが口の中全体に広がる。
「これだよ、これ」
 アリスにはない味だ。アリスではカボチャはない。替わりの野菜は一杯あるがカボチャはないのだ。家畜もそうだ。地球の牛はいない。アリスの牛は何処か違う。どちらかというと豚に近い味だ。それが不思議ではあるが。牛の食感だが味は豚なのだ。サラダも外見がキャベツだが味はリンゴだったりする。何かが違うのだ。
 ステーキにナイフを入れる。すると肉汁が溢れ出る。そしてその香りと湯気が僕の顔を打つ。僕はそれを楽しみながら肉をフォークでとり口に入れた。その独特の旨味が口の中を支配した。
 この味が欲しくてたまらなかった。アリスのものとは全く違う。本当に地球の味がした。だが食べていても何処か寂しかった。その理由はよくわかっていた。
「一人だとやっぱり味気ないな」
 それだった。彼女と一緒に食べたいと思った。だがそれはやはりまだ先のことだ。
「ふう」
 別のホノグラフィーの写真を取り出した。それは地球の写真だ。青と緑の星がそこにあった。
「もうすぐ見られるけれど。何か見られない気もするな」
 不安だった。このままずっとこの星の海を見ているだけのような気がするのだ。もしそうなったら死んでしまいたいと心から思った。
 地球の写真をしまった。ここでまた放送が入った。
「こちら機長です」
 この宇宙船の機長からの放送である。
「本日はノースアメリカンスペース航空を御利用いただき有り難うございます」
 男の人の声だった。少し緊張しているように聞こえた。
「飛行所要時間はワープスピードで四〇〇〇地球時間です」
「そんなにあるのか」
 僕はそれを聞いて溜息をついた。そしてスチュワーデスさんを呼んだ。
「何でしょうか」
「宇宙電話をかけていいですか」
 一応断りを入れたのだ。船によるが電話を禁止している場合もあるからだ。
「どうぞ」
 幸いこの船はいいようであった。僕はそれを受けて電話を手にした。だがどうも指が動かない。いや、震えて動かないのだ。
「ううん」
 僕はそれを見て考えた。どうやら彼女に電話するのが怖いらしい。
「参ったな」
 そして電話を置いた。結局大人しくすることにした。少なくともワープの後には彼女に会えるのだ。何事もなければ、の話だが。
「四〇〇〇時間」
 一口に言っても長い。半年近くある。その間彼女はどうしているだろうか。気
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