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神様ヘルプ!
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[9] 最初
れで気分が晴れるとは思えなかったからだ。俺は立った。そして部屋を出た。
「どうするか」
 立ったところで何をしようかと考えた。とりあえず立っただけなので考えもなかった。少し考えてとりあえずバイクに乗って夜の街を飛ばすことにした。たまにはそれもいいだろうと思った。
「じゃあ行くか」
 そのまま駐車場に向かう。そしてバイクのエンジンを入れた。コツコツと働いて貯めて買ったバイクだ。アメリカのものでかなり高かった。しかしそれだけの価値はある。ツレの間では人気がある。だがこれに女を乗せたことはない。乗せるのは一人だけと決めてある。乗せるあてもないが。
「何処にでも行くか」
 そのまま出た。そして俺は夜の街に出た。それからあてもなく走り続けた。ただ走った。それしかなかった。今のこの荒んだ気持ちを抑える為にはそうするしかなかった。
 部屋に帰った時にはもう朝になっていた。俺は朝日の中部屋に戻ってきた。見れば部屋の扉の前に誰かがうずくまっていた。
「どうしたんだ」
 あいつだった。何かうつむいている。それだけで何があったかわかった。
「うん、ちょっとね」
 顔を上げた。目が赤い。俺はそれを見ないふりをした。そして歩み寄った。
「海岸にでも行くか。ここじゃ何だ」
「うん」
 立ち上がらせた。そしてアパートを後にする。
「朝から泣くことはねえよ。まあ何だ。ゆっくり話そう」
「有難う。いつも御免ね」
「かまわねえよ」
 俺はこいつを連れていつもの海岸に向かった。いつものことだ。何も言わない。海岸で話を聞くだけだ。
 顔を上げた。太陽が少しずつ昇ってきている。俺はそれを見ながら思った。
(こんなのもありかな)
 海岸が見えてきた。それから俺はこいつの話を聞いた。いつものことだ。そしてこれからも。けれどこれでいい。そういうのもいいだろうと思いはじめた。


神様ヘルプ!    完



              2005・3・4
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