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第二十三話 剣士対狂戦士
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何故倒せなかったのだ……!!
自分の黒騎士は最強では無かったのか!?
あの神父は自分を騙したのか!!!

「成程…怒りで我を忘れているようだな」

ケイタは背後から聞こえた声に、ハッとし、憎悪の籠った眼でソレを目視した。

「貴様……僕を騙したのか。何であいつ等を殺せなかった!!」

ケイタは目の前の男に怒りを叩き込む。
憎悪の言葉が男に叩き込まれるのにもかかわらず、男は涼しげな表情を見せる。
いや…むしろ嬉しそうに口を歪めている。

「倒せないのは当然だ」
「なに……?」
「彼等は今まで、最前線で戦ってきた。そのレベルは明らかにトップクラスであろう。だが、君は今まで何をしていた?ただ憎しみを中層にいるモンスター達に八つ当たりしていただけ……レベルがそこまで上がる訳でもない。彼らとの実力差が開くのは当然だ」
「グッ……!」

ケイタは男の言葉を悔しそうに唇を噛みながら耐える。

ケイタは、ずっと中層圏で狩りを続けていた。
サーヴァントがいるとはいえ、自分自身のレベルでは最前線で戦えないと、そう思って最前線を避けながら、キリトを捜索する日々を続けていたのだ。
だが、そのような戦い方ではキリト達とのレベル差は開くばかりで、今回の戦闘でセイバーに完敗を喫した。

「…だが、そんな君に良い情報を教えよう」
「情報だと?」

男はケイタに対し、そんな事を言ってきた。
ケイタも半信半疑になりながら聞き返す。

「ああ、君にとっても悪くない情報だ」

ケイタは、突然の男の言葉に戸惑った。
何故自分にそこまでしてくれるのか……。

「私は、簡単にこの聖杯戦争が終わってしまっては困るのだ。監督役としての任務をしっかりと遂行しなければならないためにね」

男はそう言うと、彼に手を差し伸べる。

「……」

いったいこの男は何を考えているのか。
何のために自分に手を貸すのか。
何を企んでいるのか。

一向に窺い知れないその真意が、ケイタの胸の中を騒がせる。

だが、ケイタには深く考える必要は無かった。

皆の敵を打つ。
あの忌々しい黒い剣士と白銀の騎士を叩きつぶす。

その考えのみがケイタの体を動かした。


そして……

ケイタの手が男の手を握った時、男……言峰綺礼は不気味に口を歪ませるのであった。


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