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第二十三話 剣士対狂戦士
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た。

「申し訳ありません。あと一歩のところで逃がしてしまいました」

眼を閉じ、セイバーはキリトへ詫びを入れる。
あと一歩のところでバーサーカーを逃してしまった。

「いや……無事で何よりだよ。何とか撃退できたみたいだし」

キリトはそう言うと辺りを見渡した。

木々が倒れ、地面は抉れ、そこら中に戦闘の爪痕が残っている。

「とはいえ、バーサーカーを取り逃がしたのは痛いです。奴がこれからさらにレベルを上げてしまえば、私でも勝てるかどうか……」

珍しく、セイバーが弱気な発言をする。
それほどまでにバーサーカーの能力は脅威であった。

「それでも…今回は犠牲を出さずに済んだ。ありがとうセイバー」

以前のアサシンの襲撃……。
あの事件はキリトの心に大きな傷跡を残した。
そのため、今回のバーサーカーを退ける事が出来たのは、キリトにとって大きな結果である。

「……戻りましょう。シリカが心配です」

セイバーは、礼を言われる事に慣れていないのか、若干頬を染めるとキリトから背を向けた。

「ああ、シリカの所に行こう……っと、その前に…」

キリトは、何かを思い出すと街とは逆方向へと目を向けた。

「こいつら…送っておかないとな」

キリトの視線の先には、ロザリアをはじめとするタイタンズハントのメンバー達が未だに気絶をしていた。

キリトとセイバーは、気絶している彼らを起こすことなく、コリドーに放り込む。
無理に起こして暴れられても面倒だと思ったからだ。
彼等はゲーム終了まで、監獄エリアで過ごす事になるであろう。

全員を送り終わると、キリトは転移結晶を取り出した。
流石に、また襲われる可能性も無いとは言い切れないため、歩いて帰らずクリスタルを使う。

「転移――――――」

キリトの言葉と共に、二人はそのエリアから姿を消した。

なお、この後シリカと合流した時、二人がシリカに泣きつかれたのはまた別の話である。

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「グウゥウウウウゥゥアアァァァアァアアアァァァァァ!!!」

キリト達が街へ転移した時と同時刻、彼はその場所で声にならない叫び声を上げていた。

「クソッ…チクショウッ……!!」

苦しみと怒りの混じる苦悶の声。
彼は今までにないほどの苦しみを味わい、それと同時に激しい怒りを覚えていた。

「なんでだ……何故だ……!僕のバーサーカーは最強のはずだ!!何で!!!」

バーサーカーのマスターである、“元”月夜の黒猫団のリーダーだったケイタは、困惑を隠せないでいた。

あの神父……聖杯戦争の監督役と名乗ったあの男は、最強の存在と言い、あの黒騎士を自分に渡してくれた。

なのに…ナノニ……。

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