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乱世の確率事象改変
牡丹の花は白を望む
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ている顔から理解したが、最初から俺達のやり取りを盗み聞きしていたんだろう。
 星はそのまま泣き続けている関靖に近づいていき、頭を撫で始める。
「なんか悪い事でも言ったんだろうか」
「別になにも間違った対応はしておりませぬ。ただ牡丹が耐えきれなくなったのですよ。この子は白蓮殿から認めて貰いたくて、構ってほしくて必死で努力して来た。それなのにあなたが来てからというもの、自分を見て貰える機会が極端に減り、あまつさえ、二人で夜遅くまで出かけたり、自分には見せてくれないような笑顔を向けられていたり……」
 つまり関靖は桃香の部下である俺では無くて、白蓮と友達である俺が気に入らなかったわけだ。
 確かに白蓮は関靖に冷たい。優秀で、勤勉だが、空回りしてしまう関靖は白蓮の前では暴走してしまいがちで、さらに悪い事に部下に対して自分を作ってしまっている白蓮では問題児と捉えてしまい評価がいつも上がらない。
 星に聞いたが、過保護な母親のように白蓮のためにと何から何まで世話しようとするらしく、日々疲れ果てている白蓮では受け止めきれていないらしい。
 これは個人間の問題で、俺や星が割り込んでいい事ではない。しかし――
「星、ちょっとこいつに協力してやれ」
「……報酬は?」
 泣いてる女の子を見捨てる事は俺の心にもよろしくない。
 対して星はまるで俺がそう言うと思っていたというようににやりと笑って対価を求める。
「……酒の席と……関靖の笑顔でいいだろ」
「……くっ、ハハ、あははは! まさか秋斗殿からそのようにすかした言葉を聞けるとは。よかろう、この趙子龍、全力で牡丹を助けまする」
 大仰に礼をする彼女を見ていると一つの事柄が頭を掠め、近づいて耳元で伝えたいことを囁く。
「上手く行ったら白蓮から目を離すな。見極めるのはまだ早い」
「……それはどういう――」
「さてな、まあ自身で出した答えが全てになるさ」
 離れながら誤魔化し、未だに泣く関靖と茫然と佇む星を置いて、自分の仕事に戻る事にした。



 明くる日、廊下で楽しそうに笑いあう三人を見つける。
 どうやら全て上手く行ったらしい。
 俺はその姿に自然と微笑みが零れ、ゆっくりと近づいて話しかけた。













蛇足〜意地の張り合い〜

「……」
「……」
 睨み合う両者は沈黙を貫いていた。
 午前中の仕事が片付き、秋斗殿と牡丹と共に食事に来たまでは良かったモノの、昨日の出来事からか互いに気まずい様子。
 じとっと睨む牡丹と涼しい目で見返す秋斗殿は運ばれてきた料理も全く口にせず。
「……なんなんですかこのバカ! なにか言いたい事でもあるんですか!」
「……いや? なにもないぞ」
 耐えきれなくなったのか牡丹が怒鳴るが、受け流して変わ
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