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聖戦のデルタ
『第五次世界大戦』の部
レクエムの章
第五話『政府首都アデム』
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られているのだろう。
オスマンは3人の部下から紙切れを受け取ると、大殿に差し出した。
そして無表情で言った。
「”レクエムは、軍事都市アライアの土地と建造物を、我が国・ディヌアに譲渡する事。”」
「な、そんな事できる訳がッ……」
と動揺する大殿の言葉を遮り、
オスマンは続ける。
「そうすれば この第五次世界大戦において、ディヌアはレクエムに侵攻しない……」
「くっ、そぉ……!!」
(格下に見やがってェ……)
大殿が奥歯を噛みしめる。
「そちらが条件を承諾しなければ……」
オスマンは一度セリフを止め……
「ディヌアは4月4日、全戦力を持って首都・アデムを攻撃する」
最後の一言にアクセントをつけた。
「我々ディヌアと、貴様らレクエムの戦力差は知っていような?」
オスマンの言葉には余裕が満ちている。
「……分かった」
大殿は決断した。
「俺も一国の代表者だ。決断しなければならない時が来たようだ」
「……で?返事は?」
「お前達の条件を、飲もう」
「つまり?」
嫌味な奴だと思った。私は、こいつは人を服従させる事で快感を得る奴なんだと思った。
どうしても私の口から言わせたいらしい。
「4月4日にアライア市民を隣町に移動させる。そしてアライアをもぬけの殻にした上で、ディヌアに明け渡す」
「了解した。ではその通り、本国に伝えるとする」
オスマンはソファから立ち上がり、そそくさと部屋を出て行こうとした。

「待ってくれ!」
オスマンは無意識に叫んでいた。
オスマンが動きを止める。
「本当に、アライアを渡せば、攻撃しないんだな?」
大殿の額を汗がつたう。
「何度も言わせるな。約束は守る」
オスマンは吐き捨てるように言い、部屋を後にした。



現在

部屋に重い空気が漂う。
大殿がソファに座ってうな垂れている。
が、思考は止まらない。
(アライア市民がディヌアの軍に攻撃した以上、ディヌアとの交渉は決裂だろう。本来ならアライア市民は抵抗せず、アライアを明け渡す計画だった。だがアライア市民の攻撃を、レクエムの奇襲とみなし、それを口実にしてディヌアは侵攻を開始する……)
大殿の様子を見た大友が静寂を破る。
「大殿、これからどうするよ……?遅かれ早かれディヌアは絶対に攻めてくるぞ」
「ああ……、分かっている……」
大殿が苛立ちながら応える。
(こうなればディヌアと全面戦争をするしかない……。ならば、)
大殿は立ち上がり、
「宗玉!今すぐ動かせる人員と物資のリストアップをしてくれ!」
了解(ラジャ)!でもいきなりなんでだ?」
「ディヌアと全面戦争だ……ッ!」
大殿は、一際低い声で言った。
大殿は、そう言い残すと足早に部屋の外、綺麗に整った廊下に出た。


***

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