雛は未だ気付かず
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わってしまい少し笑いそうになった。
童女はお前だ、とびきり可愛いをつけていい。
「……ありがとう。じゃあ先に、今日は昼から休みなのに付き合ってくれてありがとうな」
「い、いえ。私も……その……」
返答を行おうとする雛里だったがもじもじと身を揺らせて、声が段々と小さく尻すぼみになっていった。
そのあまりの可愛らしさに思考が暴走し始める。
俺の紳士ゲージは強化したはずなのにもうすでに本丸まで陥落されそうなんだが。
「お待たせいたしました」
店員さんナイス。ダンディな髭のあんたのおかげで自分を取り戻せたよ。
酒ばかり気にしてで店員の対処などお構い無しな星の紹介してくれた店だが、結構いい仕事するじゃないか。
「とりあえず食べようか、美味そうだし」
「は、はい」
とは言っても目の前に置かれた品に驚きを隠せなかった。
おススメ頼んだらホットケーキが出てきた。この前あの店長に作り方とイメージを途中まで教えたが、それが完成してほかの店まで広まったのか? 確かにこの世界はふわふわの肉まんもあるから膨らし粉あっても不思議じゃないが。
そういやさっきは緊張で確認してなかったがこの店の名前は……『娘仲』
系列店かよ。漢字がいかがわしい店に見えるのは俺の心が汚いからだろうな。
あの青いネズミねこのダミ声でこれはひどいと幻聴が聞こえる。
そんな暴走思考に浸っていたら雛里がほうと息をついて一言。
「……おいしい」
彼女が頼んだのは杏仁豆腐。
そういや初めて見たときは杏仁豆腐が普通にあるこの世界に驚愕した。
どうやって作っているのか見当もつかないし、デザートとして出るなんてこの時代では普通じゃない。
またしても思考の海に放流されそうになる頭を振り、
「それはよかった。こっちもうまいな」
俺の前のホットケーキを切り取って一口にほおばって、ゆっくりと味わってから感想を述べる。
現代の記憶が甦ってきて少し泣きそうになったが。
「それは何がかかっているんですか? 蜂蜜とは違う香りが……」
おぉ、知識欲からか今度は噛まなかったな雛里。
「こいつは楓蜜って言ってな。特定の楓の木から採れる樹液を煮詰めて作ったものだ」
そう、メープルシロップである。比較的簡単に採れるしこの時代でもいけた。店長の腕があってこその話かもしれないが。
じーっとホットケーキを見てる雛里はどことなくモノ欲しそうな眼差しに見えた。
「欲しいのか?」
「あ、いえ、ちがっ……はい」
赤い顔で首を縦に振ったり横に振ったりを忙しく繰り返す。くいしんぼだと思われるのが嫌なんだろう。大体の女の子は甘いものが好きなんだから気にしなくていいのに。
「はい」
小さく切り分けてシロップが綺麗にかかっている部分をはしで持ち上げ雛里の前にさし
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