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プロローグ
プロローグ
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[9] 最初

 その星を見ながらふとそう思った。
「あっという間にいっちますんだろうな」
 そしてそう思った。ここで気紛れが起こった。
「願い事でもするか」
 だが何を願うべきか。とりあえず俺に関しちゃ何もない。見事なまでに今は何も欲しいとは思わなかった。それで俺は決めた。
「あいつの為に祈ってやるか」
 何処までも気紛れな考えだとは思った。だがそうすることにした。
「ジェーンと仲良くやれる為にな」
 煙草を放り捨てた。そして靴で踏んで火を消してから願い事をすることにした。本音を言わせてもらうが俺はこの時気紛れでそれをやろうと思っただけだ。本当なら俺の幸せでも祈ったことだろう。だが俺はこの時はそうした。
「ずっと二人で仲良くやりな。ずっとな」
 そう願い事をした。勿論あいつとジェーンのことだ。
「何があってもな。ずっと仲良くやりなよ。何があってもな」
 何故かその『何があっても』を繰り返した。それを繰り返さずにはいられなかった。
 流れ星が消えた。そして空には別の星達が瞬きはじめた。今まで流れ星だけに目をとられていたが見れば他にも星は一杯あった。夜空に何処までも広がっていた。
「フン」
 何かそれを見て面白くなくなった。俺は夜空から顔を離した。
「飯でも食うか」
 この見せは二十四時間営業している。真夜中でも食うことができる。俺はこの店のチーズバーガーが好きだった。だが今はチーズバーガーを食う気にはなれなかった。
「一つじゃ足りねえな」
 足りないというよりは気が済まなかった。
「ダブルバーガーにしとくか。あいつ等のこれからを祈ってな」
 そう思いながら店の扉を開けた。そして中に入った。
 中に入ってダブルバーガーを注文した。その時俺は気付かなかった。空にまた流れ星が出ていたことに。そして流れ星は願い事をする他にも意味があるということも知らなかった。星は人の命ってやつも示しているということを。その時俺は本当に何も知らなかった。
 それから何日後だっただろう。俺がそれを知ったのは。やるせなかった。最初に聞いた時は信じられなかった。嘘だと思った。だがそれは本当のことだった。それを認めるしかなかった。
「馬鹿が・・・・・・」
 そう呟いた。そして俺はバイクを駆ってあいつのところまで行かなくちゃならなくなった。爆音がまるで鎮魂歌のように聴こえてきた。


プロローグ   完



                2005・5・6
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