暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
改変者の胎動と鳳凰の鼓動
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殺した。
 人が死んだ。

 賊だった。獣だった。村は焼かれ、奪われ、犯され、叩き潰されていた。
 賊だった。獣だった。村は焼かれ、奪われ、犯され、叩き潰されていた。

 剣を振った。簡単なものだった。あっけなかった。軽かった。
 策をだした。簡単なものだった。うまくいった。早かった。

 俺の手で殺した。憎しみを込めていた。正義に酔っていた。
 私の命で殺した。憎しみを込めていた。正義をかざしてた。

 戦って死んだ。犠牲になった。さっきまで笑っていた。今は顔がなかった。
 戦って死んだ。犠牲になった。遠い所で、動かなくなった。

 地獄はここだ。悲鳴、怒号、血しぶき、断末魔、笑い声。
 地獄はここだ。悲鳴、怒号、血しぶき、断末魔、笑い声。

 一人殺すと真っ白になった。怒りだった。恐怖だった。哀しみだったそして……偽善だった。
 頭ははっきりとしていた。冷静だった。冷酷だった。残酷だった。そして……悲しかった。

 被害は少ない。だが死んだ。
 被害は少ない。だけど死んだ。

 兵力は三倍以上。勝利は当たり前だった。
 兵力は三倍以上。勝利は計算通りだった。

 自分が乖離したような感覚のまま報告を聞く。
 自分が戻ってきたような感覚の後報告を聞く。

 指示を出す。片づけをさせる。辺りを見渡す。
 指示を出す。片づけをさせる。辺りを見渡す。

 雛里が震えている。顔が青い。吐いた。目線が定まっていない。
 秋斗さんがいた。少し安心した。吐いてしまった。目線がぶれる。

 近付く。目を合わせる。涙が落ちる。抱きしめた。
 近寄る。目が合った。頬が冷たい。抱きしめられた。

 俺は生きている。雛里も生きている。
 私は生きている。秋斗さんも生きている。

 ぬくもりが伝わり、自分を認識する。
 ぬくもりが伝わり、自分を把握する。

 鼓動を感じる。小さな鼓動を。
 鼓動が聞こえる。大きな鼓動が。

 俺は確かに生きている。
 私は確かに生きている。

 誰かが囁く。オレは死んだ。
 心が呟く。私は殺した。

 誰かが怒鳴る。なんでお前は。
 心が喚く。仕方なかった。

 誰かが責める。お前のせいで。
 心が叫ぶ。私のせいで。

 そうか、これが英雄か。
 そうか、これが軍師か。

 俺は言う。その通りだ。人を殺した。
 私は思う。その通りだ。人を殺した。

 俺が死んだら、絶望を与えろ。
 私が死んだら、苦しみを与えて。

 俺は守る。この手に掴めるモノはありったけ。
 私は守る。頭が働くかぎりありったけ。

 だから怨め、憎め、蔑め、責めろ。
 だから怨んで、憎んで、蔑んで、責めて。

 お前らの想いも全て
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