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乱世の確率事象改変
改変者の胎動と鳳凰の鼓動
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の先頭を進み、戦場へ向かう緊張をほぐそうと話しかけてもぎこちない秋斗殿に苦笑しながらいると、遥か先に黒煙が立ち上っているのが見えた。
 賊の拠点はまだまだ先のはずなのに
 その方角は近場にある村の真上、意味するところは最悪の事態だった。
「あれは……まさか……」
「賊でしょうな。まだ拠点は先のはずでしたが……」
「しかしここまで来ているのは確かなんだ。すぐに助けに行くぞ!」
 驚愕、そして焦りを前面に出した秋斗殿は馬を走らせようとするが、
「だ、だめでしゅ! 将による独断専行は軍を混乱させ、余計な被害が出ます!」
 急に大声を出した雛里に止められる。
 我らの軍は歩兵のみ、いくら敵よりもこちらの数が多いとはいえ将だけ、または一部隊だけ先行するなど愚の骨頂。
「秋斗殿、雛里の言う通りです。彼女は軍師、指示に従いましょう」
 彼は苦虫を噛み潰したような顔をして耐える。私も急く心を押さえつけて指示を待つ。
 辛いのだろう、雛里も泣きそうな顔で瞬時に思考を巡らせて作戦を話す。
「主力部隊を三つに分けます。一つは秋斗さんが率いて村の東から、星さんは西。残りは南。敵の拠点は北にあるはずなので、ある程度は逃がしてかまいませんが幾人かの兵士に追跡を指示してください。あと、わずかに時間差で攻めてください。秋斗さんは最初に、星さんは次に。背後からの強襲にも気を付けながら進んでください」
 雛里が言い終わるや否や二人で部隊の選別をし、兵の数を整える。
「よし。お前ら、最速で村の東側から突入する! 所詮は獣だ、人の言葉も解さんだろうよ! 賊を殲滅せよ!」
 上げた口上はでたらめ且つ疎かなモノで、兵にも若干の焦りを与えてしまっている。しかし速い、彼も相当焦っているのだろうことが分かる。
 秋斗殿が率いる隊が少し離れたころに私も声を上げる。
「生きている民は全て助けろ! これ以上哀しみを増やさぬためにお前たちの力を示せ、義勇軍の勇者達よ! 私に続け!」
 彼と同じく初陣である雛里も心配だが止まってもいられない。
 ここからの采配は伝令を出してくれるだろう。
 走り出す前に彼女の方を見やると、軍師としてのモノなのか目には強い光が宿っていた。



 槍を振る。向かってくる賊に無慈悲に、淡々と。
 突き抜けた槍は敵の後背に鮮血の華を咲かせ、大地を次々に赤く彩って行った。
 真横から飛び出してくる賊を穂先で切り裂き、崩れ落ちる身体を石突で突いて大量の敵が押し寄せる方向へ吹き飛ばす。
 その様子を見て恐れている賊にも、地を蹴って空中からの大振りで一気に屠る。
 村に入り込んだ賊は本当に厄介だ。建物の陰、屋根の上、家の中にまで潜んでいて、どこから出てくるかもわからないのだから。
「獣が! 貴様らには地獄すら生ぬるい!」
 沸々と憎悪の
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