改変者の胎動と鳳凰の鼓動
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戦いなど泥臭いことこの上ないだろうに。
「綺麗だけどお兄ちゃんの動きはいつも嘘だらけでずるいのだ」
むーっと不足気味に語る鈴々。
読みがきかず、フェイクも直観と力ずくでねじ伏せるお前のほうがずるいよ鈴々……とは言わないでおく。
義勇軍に所属して少し経つ。公孫賛軍との合同演習が終わるたびに四人で試合を行うようになった。
実力を見極めるために、と愛紗と闘ったのが最初。そこからは鈴々や星が次々と。
正直な話、まともに闘えるはずないと思っていた。訓練でも人を吹き飛ばしまくっている武神、燕人、昇龍となんて。
しかし思いのほか闘えた自分に驚愕した。あまつさえ、勝つこともあるなんてな。ここだけはあの腹黒少女に感謝してもいい。戦場で簡単に死ぬこともないだろうから。
「秋斗殿、ここに一人、絶世の美女が暇を持て余しているのですが」
槍をゆっくりとひきよせ妖艶に笑う星。彼女は普段こそ飄々としているがやはりその本質は武人であり、強い相手を見ると血が疼いて仕方ないとのこと。
自分で美女とかいうなよ。まあ確かに凄く綺麗だけどな。一緒にいる時も、時折見せる少女のような笑みや、大人の女の色気に鼓動が跳ねる事が多々あるのも事実。
「すまないが、今日はこれから我らが軍師様よりお話があってだな。また今度にしてくれ」
それは残念、と肩を竦める彼女とは合同演習の時しか闘えないから少し申し訳なく思う。
「では仕方ない。白蓮殿でもからかいに行くとしよう」
楽しそうに言う星、だがさすがにやめてあげて欲しい。白蓮は心が楽になったとはいえ未だに悩みまくっているし。
とは思うが、別にいつもの事なので止めない。しかしそこではっと気づく。
最終的に被害を受けるのは俺じゃないか。そう思い出し引き止めようとすると、
「星、今回はお前も一緒らしいが、何処へ行こうというのだ」
そんな愛紗の厳しめな言葉に口を紡ぐ。
誰が来るかまでは聞いてなかった。てっきり義勇軍のみだと思っていたが星も一緒なのか。
「なんと、からかう事すらお預けか……」
おどけて言って俺たちに並んで歩き始めたが、俺は歩いてるうちに一人足りない事に気付いた。
俺達のやりとりに暇になったようで、関靖を追いかけ回していた鈴々を呼び、俺たちは軍議室に向かった。
†
運がいい事に私たちが来てからは賊の襲撃も討伐命令もなかった。だがそれもここまで。
今回、賊は二か所同時に発生報告があった。それほど数は多くないらしいのでこちらも二つ同時に叩くことになり、公孫賛様の軍からも星さんが応援に来てくれた。
私と雛里ちゃんはそれぞれ分かれて軍師として着くことになるが、後は将だ。
愛紗さんと秋斗さん、鈴々ちゃんと手助けに来てくれる星さん。
はたしてどう分けるのが最善なのか
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