『第一話』
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夕日が沈みかける午後5時頃
日本の海鳴市、とある公園の片隅にあるベンチに栗色の髪をツインテールにした五歳ぐらいの少女がいた
少女は何をすることもなく、ただ前に顔を向けているだけ
突然、とある三人組が少女の目に入った
家族なのだろう、男性と女性と二人の間の少年が仲良く手をつないで楽しそうに歩いている
それを見て、目に滲んだ涙を服の袖で拭った
――いいコにしなきゃ、そうすればみんな困らないから、お父さんも早く元気になるから――
そう思いながらも少女の目には再び涙が見えた
「あの……」
―そこに
「となり、いいか?」
― 一人の声がした
少女 side
この人は何なんだろう
最初に思ったのは疑問だった。他にも空いているベンチがあるのだから他のに座ればいいのに
「……どうぞ」
そう思っても言えるはずもなく、右にずれて席を空けた
「ありがと」
その人は言いながら横に座った
本当にこの人は何なんだろう
再びそう思いながらもこっそり隣を盗み見た
見た目は私と同い年ぐらい、髪はきれいな黒髪だけど前髪が邪魔で顔が見えない
服装は黒いシャツにジーンズといった格好だ
あやしい
とにかくあやしい、服装は別になんの問題もないけど私と近い歳で顔を隠すのはおかしいと思う(知らないけど)
わざわざ隣に座るのもおかしい、私に何かあるのかな?
「……あのさ」
とたんに隣から声がかけられた。
「なんで、泣いてたの?」
「……え…?」
言われたことが少しの間分からなかった
なんで、泣いてたの。この人はそう言った。見られてた?
でも、訳を話さないといけないわけじゃない
「……別に、なんでもないよ」
「嘘だね、何もないのに泣くわけないじゃん」
答えた瞬間に嘘だって言われた。そんなにわかりやすかったかな?
「……でも、あなたには関係ない」
そう、関係ない。この人はずっと前から知り合いでもなく、たった今声をかけられただけだ。
「……でも、誰かに話せば少しは楽になれる」
楽になれる、その言葉に少し心が揺らいだ
本当に話せば楽になれるかな?
「実は……」
そう思って訳を話した
「そっか、そんなことが……」
「うん……でも、お父さん、全然目を覚まさないの。お医者さんも『そろそろ良くなってもいいのに、けががいっこうに良く
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