第二章 非平凡な非日常
番外5、出会いと別れ、儚きもの
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出す。
「あ……」
出てきたのはチョーカーだった。
革製の地に、サファイアを模した青い石の嵌め込まれた十字架がついていた。
「彩加、これ」
「反応してよ」
「いいから開けて」
さっき買った茶色の小袋を彩加に押し付ける。
リアクションのない私にふて腐れながらも、彼女は中身を取り出した。
「これ……」
それは、革製の地に、ルビーを模した赤い石の嵌め込まれた十字架だった。
つまり私たちは、同じものの色違いのものをお互いに買っていたのだ。
あまりの可笑しさに、思わず笑ってしまった。
彩加も笑っている。
「ありがとう彩加。大切にするね」
「私もだよ要。私たちの親友の証ね!」
どうしてあんなことになってしまったのだろう。
一体、何を間違えてしまったのだろう。
もしあの日が来なかったら、私たちは今でも幸せだったのだろうか。。。
その日は、目も眩むような眩しい日差しの暑い夏だった。
夏休み。
私と彩加は近くの市民プールに向かっていた。
人通りは少なく車もあまり通らない時間帯の大通り。
信号待ちをしながらお喋りに興じている私たちに、その直後に悲劇が待っているなんて思いもしなかった。
信号が青になる。
意気揚々と横断歩道に出た、その時だった。
「危ない!」
彩加の、悲鳴に近い叫び声が上がる。
足を止めたとき、私の耳に嫌な音が響いてきた。
振り返ったそこにあったのは
零距離のトラック。
†‡†‡†‡†‡†‡
気が付くと、白い部屋で寝ていた。
それが病院の一室であると理解するのに、そう時間は要らなかった。
ベッドの周りに孤児院の大人達がいる。
何か話しているけど、頭がボーッとして聞き取れない。
何があったんだっけ?
彩加とプールに向かったところまでは覚えている。
だけど、そこから先はノイズがかかったように思い出せない。
そう言えば、彩加は?
ふと、見舞いで持ち込まれたらしい花が目に入った。
お日様のような向日葵、青空のようなブルーベル、血のような……薔薇。
……血?
どういうこと?
その時、一気に記憶が蘇った。
迫り来るトラック。
突然引かれた腕。
目の前におどりでるプラチナブロンドの髪。
そして、世界を染めた赤い血飛沫。
「彩加!!」
大人が止めるのも聞かず、部
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