第二章 非平凡な非日常
番外5、出会いと別れ、儚きもの
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投げられた木箱が当たり、血を流していることが。
しかし振り向いた彼女は、何もなかったかのように笑顔だった。
「ねえ、友達になろ?」
「……?」
「私もキラワレちゃったみたいだし、それなら二人でいた方が辛くないよ!」
友達。
自分には全く無縁で、一生かかってもあり得ないもの。
そう思っていた。
だけれども彼女はこうも簡単に笑顔でそれを言ってのけた。
当たり前のように。
「それに私、かなめちゃんの髪の色、好きだよ!」
言葉を失った。
ハーフと言うわけでもないのにエメラルドグリーンの髪。
気持ち悪い、怖いと言われたことはあっても、好きだと言われたことはなかった。
愛する母は、綺麗な色だと言ってくれたが。
父でさえも、“化物”と言って蔑んだ。
何から何まで、彼女は自分の常識を凌駕した。
「その……わたしでいいなら……。ありがとう」
この時、人生で初めて友達ができた。
これこそが、一生忘れることのない親友、高城彩加との出会いだった。
†‡†‡†‡†‡†‡
あれから数日がたった。
あの日から、私達への虐めはエスカレートしていた。
だけどもう辛くなかった。
だってどんな時でも必ず隣に彩加がいたから。
そんな時、彩加があの話を持ち出した。
ここにいる理由。
私にとって辛い思い出でしかない。
本音を言ってしまうと、彩加にでさえ二度と口に出してほしくない話題。
「私の両親ね、殺されたの。強盗殺人だったって」
断ることだってできたはずだった。
だけれど、私の口は言葉を連ねていた。
「4歳の時の9月15日、私の家に強盗が入ったの。その犯人は狂っていて、お父さんとお母さんを殺して、お金を盗んでいっちゃった。その時幼稚園にいた私は無事だったんだけど、家にいたはずのお兄ちゃんは、今もまだ行方不明のまま……。ケーサツは死んだって言ってる。そんなの信じたくない」
語る私は恐ろしく冷静だった。
聞いている彩加は、恐ろしく静かだった。
真剣なその目が潤んでいるように見えたのは、光の加減のせいだろうか。
「そっか。要にとって辛いよね。聞いちゃってごめんね」
「ううん。いいの」
「私はね、両親の顔を知らないの」
「……え?」
突然彩加から発せられた言葉。
この話題を切り出したのには何か意味があるとは思っていたけど、それは私の予想を遥かに越えていた。
「全部、聞いた話なんだけどね。私のお母さんは、生まれつき身体が弱かったんだって。だから妊娠したときには卸すように強く進められていた。だけど、大丈夫、と頑なになって、遂に出
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