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少女1人>リリカルマジカル
第四十四話 少年期【27】
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てはならないのだ。主に精神的な安定のために。

 黒髪黒目の明るい少年で、妹がいることからか面倒見はかなりいい。楽しいことが好きで、周りを巻き込むところはあるが、しっかりと締めるところは締められる少年であった……たぶん。彼女が安心できないのは、彼がやることなすこといつも斜め上な所為だった。完全にアルヴィンの、ただの自業自得だった。

『それにしても、次元世界の動物ってどうなっているのかが気になりました。ブーフがいるから、ちょろっと飼育員さんから……とかおちゃめなことを考えながら歩いていると、リニスとコーラルの様子が変なことに気づきました』
「飼育員さん、その子から逃げてください」
『会話はよく聞こえなかったけど、テスタロッサ家にふさわしいのは…、とかそんな会話でした。その後、うちのリニスさんが番長よろしく特攻かける事件が発生しました。転移でそれを迎えに行く、俺の身にもなってほしいと思います。気絶した動物をもふれたのは嬉しかったけど、くまはもふれなかったのが残念でした』
「ポジティブの方向性が、何か違うくない」

 アリシアの作文より詳しく書かれているようで、余計に読んでいる相手を混乱に陥れてくる感じの訳のわからない作文だった。文章形態でも、アルヴィンの内容はやはり横道にずれるらしい。

『そしてついに訪れたのは、ぞうのふれあい広場でした。さすがにくまで引き分けたのに、ぞう相手に特攻はまずいだろ、と思った俺とコーラルとブーフでリニスを止めるために立ち上がりました』
「……あれ、普通にまともなことをしている」
『そこからが、俺たちの戦いの始まりでした。リニスの初手を転移で避け、俺はすぐにバインドを放ちましたが、彼女はその俊足を生かして潜り抜けてきました。ブーフから教えてもらった設置型の魔法で罠を仕掛けたが、リニスの直感はそれらを躱してしまう。彼女の間合いがこちらに近づいたら、俺は転移でそれを引き離す。そんな完全な膠着状態で、先に動いたのはリニスであった。なんと、彼女は今までの速さからの戦法を変え、まるで滑るような動きへとなっていたのだ。俺が認識した時には、すでに間合いが詰められていた。間に合わないと悟った俺は、魔法障壁を張り、リニスのにゃんこキックを―――』
「小学生の作文はどこに行っちゃったの!?」

 です・ます調ですらなくなっているよ! と指摘するあたり、彼女は根っからの教職員だった。

『そして、リニスとの戦いの後、俺もぞうさんに餌をやりました。ちょっとぞうさんがアリシアのにんじんを横からかすめ取ろうとしたのに気づいて、それを止めるために、ついにんじんを投げてしまいました。それがぞうさんに、突き刺さってしまいました。でも、一応友達にはなれました。そんな紆余曲折があったけど、動物園は楽しかったです』
「いや、そこを書い
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