第四十四話 少年期【27】
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の中は混乱していた。
『おくにはぞうさんがいました。ぞうさんはすっごく大きくてすごかったです。お母さんといっしょに見れてよかったです。でも、お兄ちゃんとコーラルとブーフが後ろで、リニスとたたかっていました。ぞうさんすごいのに、見なくていいのかな』
「アリシアちゃん、お願いだから猫さんが戦っていることに疑問を持って」
『すこしして、お母さんがリニスをだっこしておわりました。お兄ちゃんがえがおで「まほうしょうへきを4枚はったら、タイマンはれた」ってよろこんでサムズアップしていました』
「また、猫が魔法障壁を破る証拠が増えてしまった…」
何故ここまで常識の壁をぶち抜いてくるのか。リニスの決闘事件はプレシアが収めたらしいが、できればもう少し早く手を打ってほしかった、と彼女は思う。プレシアとは何度か会ったことがあるので、彼女はまだそこまで向こう側に振り切れた人ではないと思っていたからだ。
大魔導師として有名な彼女が、魔法障壁を猫が破るという現実を果たして受け入れられるのか。
『そんなお兄ちゃんに、お母さんが「しょうへきが4枚でぬかれなくなったなんて、がんばったわね」って頭をなでていました。いいなぁと思いました』
「お母さん、そこ受け入れないで!?」
子どもたちに関しては、お母さんは向こう側に振っ切れた人になることを先生は悟った。
『ぞうさんににんじんをあげたら、はなでパクリと食べてくれました。お兄ちゃんはコーラルとコンビをくんで、にんじんミサイルをぞうさんにしていました。ぞうさんもがんばっていました。お母さんに止められちゃったのでいっしょにできなかったけど、みんな楽しそうでした』
「……食べ物は投げちゃ駄目って言っておこう」
もうそれしか言えなかった。アリシアちゃんが楽しめたのならいっか、と彼女はちょっぴり逞しくなったのであった。
******
『祝! 2年かけて、ついにリニスとタイマンをはれた!(動物園にて)』
「アルヴィン君、そこは動物園をピックアップしてあげて」
続いて作者名、アルヴィン・テスタロッサ。よほどリニスと張り合えたのが嬉しかったらしい。おそらく妹の作文を読んでいなかったら、題名を見ただけで現実逃避をしていたかもしれなかった。
『アリシアがずっと行きたがっていた動物園に、俺たちは行くことができました。春まで待ったかいがあって、動物たちも元気に動き回っていました。テレビで見たことがある動物や、次元世界特有の動物など色々見れて、とても興味深かったです』
クラ校で有名な、テスタロッサ兄妹の兄の方。彼の文体や文章に関して、今更ツッコむほど彼女のレベルは低くない。1年間先生としてやってきており、あの卵かけごはん事件を目撃した者が、この程度のことで狼狽え
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ