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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百二十八話:殺られる前に殺る
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その人にも見られる羽目になるわけでして。

「あ……そうか、悪い……」

 ヘンリーも気付いて、また赤面しています。

「……掴まって、……いい……?」
「あ、ああ」

 私の作り出す妙な雰囲気に、ヘンリーは完全に飲み込まれている模様。
 これならば、あちらから口説いてくる余裕は無いでしょう!

 この流れを逃さぬよう、恥じらう態度は崩さないまま、そっと身を寄り添わせてもう片方の腕も回し、横から抱き付くような形になります。

 恥じらっておいてこんなにくっつくとか、我ながらとんだ小悪魔ですが。
 もちろんわざとですけれども。

 またビシリと固まったヘンリーを恥ずかしそうに見上げ、微笑んで促します。

「ヘンリー、行こう?」
「……!」

 もはや言葉も無いながら、なんとか足を動かしてヘンリーが階段を降り始めます。
 それでも転ばないのはさすがだが。

 私たちがもたついている間に先に進み過ぎていたモモも、戻ってきて私の隣に並びます。

『ドーラちゃん、次はどこ行くのー?』
「モンスターじいさんのところだね。この町の人にはまだ会ってないから、会っておきたいし。イナッツさんにも連絡取りたいから」
『そっか!うん、あたしも会ってみたい!早く、行こ!』

 モモに向けた私の言葉を聞いて、ヘンリーがハッと我に返ります。

「おい。その格好で行くのか?」

 ちっ、かなり通常の状態に戻ってる!

 なんだ、何がいけなかった。
 モモに話す時は素だったからか?

 ひとまず、また演技に入って上目遣いになってみます。

「うん。……ダメ、かな?」

 今日はもう次の町に行く予定だし、オラクルベリーの師匠のところへは出入りを禁止されたから、絶対に会っておきたいんですけど。
 ダメとか言われたら、本当にかなり困るんですけど。

 演技の中に本物の困惑を滲ませて目で訴える私に、またヘンリーが動揺して目を逸らします。

「……ダメ、ってわけじゃ無いが!気を付けろよ、絶対に俺から離れるな!俺より前に出たり、じいさんに近付いたりするなよ!」
「……うん!わかった、気を付けるね!」

 なんでそんなに警戒する必要があるのか、全く訳がわかりませんが。

 ひとまず許可が出たことを喜んでおくことにして、笑顔でさらにぎゅっと抱き付きます。

 ヘンリーが真っ赤になったので、戻ったのは一瞬だったのかもしれませんね!


 また返事の無いヘンリーを促して階段を降りきり、気が付かれる前にそっと体を離してまた手を繋ぎます。

『ドーラちゃーん!早くー!』
「待って、モモー!ほら、ヘンリー!早く早く!」

 先に走って行くモモを追いかけて、またヘンリーを引っ張って私も走ります
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