第二十七話 〜夜に舞う喋 中編【暁 Ver】
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も思ってないよっ」
「五月蝿いわ。話を続けます」
「え、何この酷い扱い」
部隊長室には、寮での騒ぎを聞いて駆けつけたなのはさん達と、八神部隊長と同様に隊舎に残っていたフェイトさんとシグナム副隊長がいた。あたしは夜の帳が落ちた窓を少しだけ見つめ。先程見た遠ざかっていくアスナの後ろ姿を幻視しながら──── 話し始めた。
「概要は……先程お話しした通りです。少し前からアスナの様子が変だったのに気づいていながら……何もしなかったのは、あたしのミスです」
「それは、ええよ。それを言うんやったら私なんか気づきもせんかった。……部隊長が聞いて呆れるわな」
そう言いながら、八神部隊長は自嘲気味に笑った。
「……アスナは犯人じゃない。それを前提として考えるとおかしな点が少し」
「蛾の種類、だね。なぜ、特定が困難な二枚の現場写真から、二人の被害者の口の中にあった蛾を同じ種類だと判断出来たのか」
冷静に口にするフェイトさんの瞳は、執務官のそれだった。
「はい……アスナが犯人だとすれば、それはおかしくはありません。ですが」
「犯人だからだろう」
その言葉に、全員が振り返る──── 最悪だ。なんでコイツまでいるんだ。
「罪を犯した者など、そんなものだ。自分が殺した人間の映像など見れば、少なからず動揺して口走ったとしてもおかしくはない……犯人しか知り得ないことをな。違うか?」
八神部隊長があからさまに渋い顔をする。六課は唯でさえ風当たりが強いのだ。厄介な奴に厄介なところを……という心境だろう。
「何より寮から逃亡したのが証拠だろう。そもそも、お前たちは何故あいつが犯人じゃないという前提で話をしているんだ? 仲間だからか? ……くだらんな。そんな一時の感傷でモノを言っていると、足元を掬われるぞ? ……人殺しは犯罪だ」
──── 人殺したぁ、穏やかじゃねぇな。
唐突に聞こえた新たな登場人物の声に入り口を振り返る。そこにいたのは、あたしも知っている人物だった。管理局の制服を普段着のように着こなしている。それを物語るように、年齢を感じさせる真白な髪が印象的だ。
「な、ナカジマ三佐っ、なぜこちらに」
八神部隊長が慌てて椅子から立上り敬礼をした。その場にいた人間も習うようにして敬礼をする。この男──── エイジ・タカムラは別だが。……どうにもこの男は他人へ敬意を払うと言う行為を知らないらしい。ナカジマ三佐は、よせよせとばかりに手を振りながら、八神部隊長へと歩を進めた。
「久しぶりだなぁ、八神。なに、少しばかり用事があってな。ついでだ。夜分遅くに失礼かとは思ったんだが……」
ナカジマ三佐は、そこまで言うとタカムラへと視線を移した。
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