反董卓の章
第15話 「えー!? やだやだ! 呂布と戦いたい!」
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……敵はそれを開け放ち、連合が来るのを野戦の体で待ち受けていた。
その理由は……
「……守りに徹するより、大規模な野戦で一気に勝敗をつける自信があるのか」
「え……?」
「本来、有利なはずの防衛設備を放棄しての決戦。その意図は……逃げるか、その方が有利に戦えるかのどちらかだ」
「にげ、る?」
「ああ……だが、兵力がこちらより上にも拘らず逃げるのは不合理……逃げるのでないなら残りは一つ。そちらが有利に戦えるから、だ」
「で、でも……」
桃香は俺を見て困惑げに言いよどむ。
まあ、言いたいことは判るがね。
「ご主人様!」
「お兄ちゃん!」
「主!」
兵をまとめていた愛紗と鈴々、そして馬正が戻ってくる。
それぞれの軍には臨戦態勢を指示した。
「ご主人様。軍はいつでも動けます。しかし……何故敵は虎牢関を背にして布陣をしているのでしょうか」
「理由は簡単だよ、愛紗……その方が有利だからだ」
「にゃ? それはおかしいのだ。虎牢関に篭もったほうがずっと有利なのだ」
「ふむ……確かにその通りであるよ、鈴々。でもね……籠城ってやつは、援軍があるから有効なんだ。だから………………」
不意に俺は言いよどむ。
まてよ……まさか、そういうことなのか?
いや……にしては兵力が少ない。
ということは、普通にバレた上で、逆に……?
「にゃ?」
「主よ……いかがされましたか?」
「まさか……いや、もしそうなら……随分と大胆、いや……見抜いたのなら? そういや向こうには賈駆がいた……」
「ご主人様……?」
「……朱里。見切られた可能性はあるか?」
俺は愛紗たちには答えず、朱里へと顔を向ける。
そこにいた朱里は、眉を寄せながら思案していた。
「……可能性はあります。北や南の部隊にやる気が無い……もしくは偽兵が下手だった場合、ただの兵力分散になっているのかも。それ以上にあの袁紹ですから……」
「くそっ……袁紹と引き離したのはまずかったか」
俺は額に手をやり、自身の浅慮を呪う。
俺はどこかで『人』を侮っていたのかもしれない。
「どういうこと、ご主人様! 説明してよ!」
「……袁紹の取り巻きの諸侯が、袁紹の眼の届かないことで下手を打ったと考えるべきだろう」
「え!?」
「最初は裏切りかとも思ったんだがな……その割には向こうの兵力が予想より膨れ上がっていない。となると、普通に偽兵がバレて、適正な数を東に振り分けたと考えれば説明がつく」
「えっと……え?」
桃香が訳がわからない、といった顔で俺を見る。
すると朱里が手を上げた。
「あのですね、桃香様……最初、盾二様は北と南の陽動した諸侯が裏切ったのではないか、と思ったようです」
「ええ!
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