反董卓の章
第15話 「えー!? やだやだ! 呂布と戦いたい!」
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術と一緒に前に出るのかとも思ったのだけど」
「袁術側……というより、その配下の張勲が係わっているようですね。私達と共同で動くより、従属している孫策軍を選んだのでしょう」
ふむ……桂花の分析が正しいのなら、張勲はこちらを警戒しているということでもある。
でも、その見立てはどうかしらね。
私としては……従属している孫策軍のほうが、この場合は獅子身中の虫と見ているのだけど。
「まあ、城攻めとなれば陣替えでの波状攻撃、という作戦自体は悪いものでもないわ。それを麗羽が言うのは違和感がありまくりだったけどね」
「おそらくは……誰かが入れ知恵しているのかと。お世辞にも袁紹がそれを立案したとは思えません」
「……そういえば桂花は袁紹の処にいたのだったわね。でもまあ……それをしている人物に見当があるわ」
あの詐欺師の文官。
麗羽の足りない頭を補うぐらいの知恵はありそうではあった。
「あの袁紹が文官の意見を取り入れているのも、私からしたら驚きなのですが……すいません、華琳様。細作が戻ってきたようなので報告を聞いてきます」
「ええ、任せるわ」
そう言って馬の腹を蹴って、先行する桂花。
「しかし華琳様……劉備軍との共同戦線はどう動くおつもりですか?」
「別に? 向こうは向こう、こちらはこちらでいいわよ。関攻めなんですもの、やることなど変わりはしないわ」
「しかし……水関のように奇策を用いてくるやもしれません」
「あら、それならなおさら好きにやらせた方がいいじゃない。目立ってくれるならこちらは楽ができるわよ」
「はあ……」
秋蘭は腑に落ちないといった様子で私を見ている。
ふふ……秋蘭、あなたでもわからないのかしら?
「ええと……よろしいですか、華琳様」
「なあに、春蘭」
「私は馬鹿なのでわからないのですが……華琳様は確か、あわよくば世間に名を示すと言っていましたよね? 虎牢関で武名を挙げなくてよろしいのですか?」
「あら、春蘭。めずらしくまともな質問じゃない。春蘭じゃないみたいよ?」
「華琳さまぁ……」
ふふふ……春蘭の泣きそうな顔って可愛くて好きよ。
「ふふ……あのね、春蘭。私は確かに『名を示す』と言ったけどね。なにも武威を誇る、とは言ってないわよ?」
「え?」
「確かに虎牢関を陥とせば武名は挙がるわ。でも、それは武人の名。私が欲しいのは為政者としての名よ。それなら……誰に向かって名を示すのが一番いいのかしら?」
「え? ええと……?」
「……なるほど」
春蘭は首を傾げ、秋蘭は納得したように頷く。
ふふ……いつもの光景ね。
「為政者が治めるのは『兵』でなく『民』よ。ならば民に対してその威光を示すのが一番。あとは……秋蘭ならわかるかしらね」
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