暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、同行する
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直しが出来るなら、今回みたいに全員がボロボロの状況では、体調を含めて戦況を整えるのにも使える」

 そう考えるとかなり強力だと思うんだけど、黒ウサギさんは複雑な表情で首を振った。

「それが、ただ便利なだけとは限らないのですよ。審判決議を行ってルールを正す場合、“主催者(ホスト)”と“参加者(プレイヤー)”の間に、ある相互不可侵の契約が交わされるのですヨ」

 ある契約・・・?

「ルールを正すってことは・・・お互いに、今回のゲームに対して遺恨を残さない、とか、そんな感じか?」
「それって・・・今回のゲームで負けても、報復行為を理由にギフトゲームを挑んではいけないとか、そういうこと?」
「YES。ですので、負ければ救援はこないものと思ってください」
「ハッ、最初から負けを見据えて勝てるかよ」
「だね。要するに、勝てばいいんだ」

 話が一段落すると、大広間の扉が開いてサンドラちゃんとマンドラさんが出てきて、僕たち参加者に告げた。

「これより魔王との審判決議に向かいます。同行者は五名です。――――まずは“箱庭の貴族”である、黒ウサギ。“サラマンドラ”からはマンドラ。そして、魔王陣営から“音楽シリーズ”のギフト保持者を指定してきましたので、“ノーネーム”の天歌奏です」

 ん?今、僕の名前が挙がった?

「えっと・・・何故相手側は僕を?」
「分かりませんが、向こうにも何かしらの意図があるのでしょう。それに乗るのは躊躇われますが、人数が増えることは助かりますので、この交渉には乗ることにしました」

 ふむ・・・謎しかない・・・

「大方、オマエの様子を把握しておきたいんだろ。向こうはオマエのことを白夜叉に並ぶ脅威だと考えてるみたいだしな」
「それも本当かどうか怪しいけどね・・・分かりました。では、同行させていただきます」

 逆廻君のいうことにも一理あるので、僕は同行することにした。

「では、残りの二名についてですが、もしも今挙がった以外の者で“ハーメルンの笛吹き”に詳しいものがいたら、交渉に協力して欲しい。誰か立候補するものはいませんか?」

 サンドラちゃんがそう声をかけると、他の参加者の中にどよめきが走った。
 まあ、童話なんていくらでも広がっていくものだし、翻訳されるたんびにその人の感じ方で新しい物語が出来てしまう。そういった細部まで把握している人は、そうそういるものではない。
 ただ、一人知っていてもおかしくない人に心当たりが・・・

「逆廻君、立候補しないの?」
「ん?そうだな。確かに俺はハーメルンの笛吹きの細部まで知ってるが・・・コミュニティの名前を広げるには、俺よりも適しているやつがいる」

 そう言って、逆廻君はジン君のところまで歩いていき、その首根っこをつかみ
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