悲しい悲劇 雨(ウルル)編
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〜3年前〜
「結羽?結羽!・・・お願いだ・・目、開けろ。お願いだ!
何で、俺じゃないんだ!何で俺じゃなくて・・・結羽なんだ!」
と、泣きじゃくる雨を隣で、見つめる結羽の兄で、波多 陵駕(はた りょうが)
は雨の両親が亡くなった時、10年前も、雨の傍にいたたった1人である。
そして、3年前も雨の隣にいる・・・
たぶん、雨は、陵駕のことを死神だと思っているのだろう・・・。
あれから、何年もたった・・・今でも、両親がいて、結羽がいる時を思い出す
だけで、雨は、自分の部屋で、鍵をかけて静かで声の無い叫び声をあげていた。
雨は今でも陵駕が死神だと思いたくないのだろう・・・。
だが、陵駕が死神だという事実は、
間違いではないのだろう・・・。
その事実を陵駕に言い放ったら、
どうなるかは・・・明白だったのだ。
陵駕は自分でも死神だということを理解できないくらいに、次々に死んでいく
身内のことで頭がこんがらがっていた。
だが、陵駕は、ただただ雨の幸せを祈っているだけだが、
死神の仕事はその逆だったのだから雨の幸せを願ってはいけないのだから・・・
願ってしまうと雨に危険が及ぶかもしれない、不幸になってしまうかもしれない
その恐怖で本当のことを言い出せなくなっていたのだろう。
雨は、陵駕の秘密を知っていた・・・
死神だということも、自分に隠しているということも知っていたのだ・・・
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