斑鳩
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分がジェラールを倒して騙されていた8年が戻って来る訳でも、騙された記憶が消える訳でもない。
「ま、それでもジェラールを倒すってんなら好きにしろよ。どの道俺ァ関係ねぇし興味もねぇ。チッ、面白れぇモンが呼んでると思ったのによォ。ハズレか、ハズレ」
くしゃ、が、ぐしゃぐしゃに変わる。
先ほどより強く髪を掴んでかき回し、鬱陶しそうに盛大なため息をつく。
黒ジャケットをひるがえし、来た道を引き返そうとショウに背を向けた。
―――――と、その時。
「!」
「お?」
ベンべケべケべケべケべケベンベケ・・・。
桜の花弁と共に、厚底の下駄を履いた女性が現れる。
肩を露出した踝丈の着物に身を包み、その着物の裏や裾には髑髏のマークが描かれていた。
淡い桃色の髪を上で着物に似合うように結び、結んでいない髪は下ろしている。
「うちは斑鳩と申しますぅ。よしなに」
桜の花弁が舞う。
『斑鳩』と名乗る女性は手に刀を1本持ち、微笑んでいた。
「どけよ。何だ、このふざけた奴は」
「あらぁ・・・無粋な方やわ〜」
ショウの敵対心満載の目に、斑鳩は表情1つ変えずに着物の裾で口元を隠す。
「テメェなんかに用はねぇ!」
ショウが用があるのはジェラールだけだ。
目の前にいる斑鳩などに用はない。
そう叫び、一気に無数のカードを放り投げる。
「・・・」
斑鳩は真っ直ぐに向かってくるカードを見つめ、ゆっくりと刀を抜き―――――舞うように刀を振った。
優雅に、優美に、美しく舞う。
「!?」
「何だ、こいつァ・・・」
その姿にショウは目を見開き、アルカは静かに呟く。
斑鳩が刀を振り終えた瞬間、宙を舞っていたカードは――――――
「バカな・・・!」
「ほぉ・・・」
全て横一線に斬られていた。
「うちに斬れないものはありません」
笑みを浮かべたまま、斑鳩は呟く。
刹那、動きを止めていたショウに、Xのような切り傷が現れ―――――
「!?」
ズバァ、と。
一気に斬れた。
「がはぁ!え・・・あが・・・」
「ショウ!」
口から血を吐き、よろ・・・とよろけるショウを見て、アルカは慌てたように叫ぶ。
「い・・・いつの間に・・・」
目に見えないほどに素早い剣閃。
ショウはそのまま倒れ、斑鳩はその後ろにいたアルカに目を向ける。
「あんはんもこの方のお仲間どすか?」
「んまぁ、一応な。にしてもお前・・・面白れぇな。俺のレーダーに間違いなしだわ」
うんうん、と納得するように頷くアルカ。
「えーっと?お前は斑鳩・・・だっけ。名乗ってもらったら名乗るのが常識ってモンだよな」
アルカは1人呟き、笑う。
面白いものを見つけた時と同じ、ただ己
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