理想を求める者
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ここに来るまでの変な視線はそのせいか。よく捕まらなかったなぁ、俺。
「いえ、俺はこの子たちの護衛を依頼されました徐公明といいます。この二人が義勇軍志望ですよ」
さらっと自分は違うと否定して保険をかけとく。見上げながら悲しそうな顔しないでくれ雛里よ。諸葛亮ちゃんの刺すような視線が痛いです。ねーちゃんは……怪しんでるな。うん、普通おかしいもんな。
「諸葛孔明と申します」
「鳳士元といいます」
二人は自分の見た目をわかっているからか水鏡塾の卒業証明を見せながら自己紹介する。
最初は訝しげであったねーちゃんは名前を聞くと驚いて、証明を見て確認すると丁寧に返答する。
「噂に聞く伏竜と鳳雛のお二人が我が主に会いに来ていただけるとは光栄です。私は劉玄徳様の家臣の関雲長と申します。我が主のもとへご案内致します」
一礼をして背を向け先導する関羽……関羽?
このねーちゃんが関羽だと!? 美しい髭はどうした! 髪が綺麗だから美髪公ですってか? ふざけんな! なんなんだこの世界は! 有名処みんな女の子なのかよ……
頭を抱えたくなるような衝撃を受けてしばし関羽の後ろ姿を凝視してしまっていたが、雛里に袖をひっぱられながら城の中に入る。何故また掴んでいるんだ。
英雄だらけの世界で不安と緊張と恐怖しかなく、これからのことをどうにか考えようとしたが、袖を掴む天使とハイライトの消えた瞳で微笑みながらこちらを見る悪魔のおかげで、なるようになるかーと思考放棄することしかできなかった。
†
僥倖だった。
もはや軍の運営は私だけではまかないきれないほどになっていたから。
様々な支援をしてくれている公孫賛様にはもう今以上の要求はできない。
そこに志願しにきてくれた二人の賢者。やはり桃香さまは天に味方されておられるのだろう。
しかし護衛の男。飄々としているが隙がない。身体の運びも武人のそれだ。かなりの力量だろう。
男など大したことはないと思っていたが、存外いるものなのだな。
だが……桃香様に不埒なことを少しでもしようものなら……
ん? 随分士元殿に懐かれているのだな。孔明殿も棘はあるが嫌ってはいないようだ。二人とも愛らしいな。精霊のようだ。
はっ! いかん、士元殿と孔明殿の対応からすると大丈夫だと思えるが気は張っておかなければ。
しかし桃香様はうまくやってくれるだろうか。
「しばしお待ちを。桃香様! 志願者の方を連れてまいりました!」
†
関羽に促されて部屋に入った俺達を出迎えたのは桃色の髪をした、年齢は高校生くらいであろう胸の大きな女の子。
「遠い所をありがとうございます。私が義勇軍大将劉玄徳です」
甘くて透き通った声が耳に響き、彼女に笑顔を向けられると、何が起こったのか全身が緊張してただその
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