理想を求める者
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くれませんか?」
そのお願いに対しての返答が今の状況。
返事をするや否やすぐに荷物を取りに帰り、度々話に出てきた親友を連れてきて俺に紹介し、商人に話をつけてから昼過ぎに馬車に乗り込んだ。
驚くような手際の良さである。
「はわわ、すみましぇん。いい、いきなりおちゅれしてしまったのに……こほん、詳しい説明もせず私達だけで話し込んでしまって……」
さっきまでの出来事を思い出していたら、所々噛んで真っ赤になる諸葛亮ちゃんに話しかけられる。もしかしたらこの世界の軍師は全て噛み噛み幼女なのかもしれない。
咳払いを一つして、どうにか噛まなくなったのかつらつらと今回の件の説明をしてくれたが、要約するとこうだ。
今日しか幽州行きの馬車はなく次を待つとなるとひと月は開いてしまうこと。
護衛をしてくれる人が欲しかったが旅用の資金しかないこと。
雛里から俺の話を聞き、街で噂の熊退治の人と結びついたこと。
勝手を言って申し訳ないということ。
諸葛亮ちゃんも天使だということ。
おっと、心の声が混ざったか。しかし本当に卑怯なほどロリコン殺しな二人で、この子たちがいたら世界中のロリコンは仲間にできることだろう。
そういや雛里が目も合わせてくれないのは罪悪感か? 気にしなくていいのに。
「気にしなくていいよ、雛里も諸葛亮ちゃんも。それに俺もそろそろどこか違う所へ旅に出るつもりだったからちょうどいい。歩くより遥かにましだしな」
雛里はやっと顔を上げてくれたが、何かに気付いたのか急にあわあわと呟きだし、真っ赤になりながら目をぐるぐる回して慌て始める。
(ひ、雛里ちゃん! 男の人に真名を預けたの!?)
諸葛亮ちゃんが雛里に対して小声でなにやら尋ねているが声が小さすぎてこちらからは全く聞き取れない。
(し、秋斗さんは信頼できるし優しい人だから)
(真名も預かってるの!?)
驚きながらひそひそと話し続ける。
修学旅行のバスの中みたいだなと前に生きていた世界を懐かしみながら、一応男子禁制の会話かもしれないのと、少し馬車の商人と話すために二人の世界に入り始めた彼女達を置いて外に出る。
緩やかに流れる風、ある程度規則的に伝わる振動、林道に入っているからか新緑の澄み渡った香りが心を落ち着かてくれる。
こういうのいいなぁ。ゆったりと馬車の旅。電車や車は早いけどゆっくり落ち着くゆとりもないし。
「よう兄ちゃん。可愛い妹さん達の相手に疲れたのかい?」
「そんなところさ。そういえば商人さん、幽州って今どんな感じなんだ?」
「そうさなあ。うーん、最近物忘れが激しくていけねぇや。もうちょっとで思い出せそうなんだがなぁ……」
にやにやと笑いながら言っても説得力ないぞ商売人め。
心の中で毒づいて、出来る限り穏便
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