今こそ始まりの時
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当たりした所で、どうにかなる相手ではない。
兵士はニヤニヤしながら俺を見下ろしてくる。どう苛めようか考えて居るようだった。
ただただ、怖かった。
『この子に手出すすんじゃないわよ!!!』
仲間のアイナが薪を手に、兵士を殴る。…が、剣で防がれる。
『くそっ!!』
『あー、もううざってェ!!!』
兵士が苛立ったように眉を潜めて怒鳴り、剣を振り回す。
『え――――――』
ブシュッ……!!!
突如、彼女の胸から剣が生えた。…いや違う。
剣が刺さっているんだ…
『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?』
『ごふっ…!!』
…アイナの血が俺の頬にぺチャリとついた。
仲間は皆青ざめて、震えた。俺も勿論恐怖し、情けない事に泣いた。
『さて、一人死んだね。言う事聞いてくれないならもう一人殺す事になるけど。どうする?』
『――――――――――。』
なんて答えたかは忘れた。
俺は兵士になった。ならなければならなかった。
訓練兵になってからは訓練の繰り返し。訓練訓練訓練。わき目を振らず、ただただ訓練に打ち込む日々。
――――全てはアイナを殺したあいつを殺すために。
いつも疲労でぶっ倒れるまで訓練。きっとアイツは上位の兵士だろうから、上にいくために座学も学ぶ。食事なんて、一日一食で十分、睡眠なんて1時間で問題ないだろう?そんなことより時間が惜しい。教官の教えを一つももらすことなく学べ。何回も何十回も体を動かして脳で考える前に動けるようにしろ。
そうして学が無く、才能がぬきんでてる訳でもない俺でもなんとか一位になり、卒業した。
…まぁ、というわけだ。これで楽しいなんて口が裂けても言えないだろう。今思い出しても、確かにあれはやりすぎたと思う。
「おい、それはそっちだ。」
「了解。」
返事をしながらなが細い何かを運ぶ。…しかしなんというか、単調な作業だ。正直つまらない。
暇すぎて仕方が無いので、俺はまた少し昔のさっきの続きを思い出す。
調査兵団になってある程度の地位に着いた時のことだ。
あの―――――アイナを殺した男の兵士が、俺に謝罪をしてきた。
『すまなかった。』
その都合の良い言い訳も何もない、ただ一言だけの謝罪。最初顔を見たときは、腰の剣を持って首根っこをグシャリと切ってやろうかと思ったさ。
でも、まさか謝られるとは思わないだろう?
俺は到底『許す。』なんてことは言えなかった。アイナはこいつに殺されたのだ。確かに俺が優柔不断だったのも原因だろう。だが、殺された原因はこいつだ。いや…。直接殺し
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