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どっかの分隊長
今こそ始まりの時
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山に現れたこの男の兵士は、ニッコリ笑いながら平然と脅してきた。最初は全員ポカーンとしていたが、次第に意味が分かってくると怒って、それから青ざめた。

『………………。』

全員、何も言わない。言えない。いつも五月蝿い仲間達がこの時ばかりは黙った。
…いや、一人だけ喋る男の兵士が一人だけいたな。

『ふふ、悪い提案じゃないよね。』

そういいながら演技がかった仕草で手を俺の前に差し出す兵士。俺は仲間と自分を天秤にかけ、兵士の手を取ろうとした。

『……行く必要はないよ。』

ぽつり…とリーダーの人が呟く。それに合わせ、皆が武器を持って叫び始めた。

『そ、そうだよ!!私達がさ、こんな兵士なんかに負けるわけ無いじゃん!』
『あぁ、おいてめーらこいつを守るぞ!!』
『『おう!!!!』』

『……ぁ。』

だ、駄目だ!!

こいつ等に反抗するな、危険だ、やばい。こいつ等だけは駄目だ。今まで自分を支えてきてくれた勘が自分の脳に危険信号を放つ。だが、足に力が入らない。

俺は引きつる喉を必死に動かしてさけんだ。

『やめろッ!!!!』
『『!!』』
『な…なんでだよ!?こいつは、俺らから、仲間を引き抜こうとしてるんだぞ!!』
『駄目だ…そいつは駄目だ。そいつ等は駄目だ。』
『等って…あいつは一人じゃないの。』

仲間の一人の少女―――――アイナが、戸惑いながら言ってくる。でも、違うんだ。違うんだよ。
焦りと恐怖でぐちゃぐちゃになって、汗が頬を流れる。

『君は賢明だね。将来が楽しみだ。』

男の兵士が笑いながら言う。

『よし、お前等出てこい。』
『『『ハッ!』』』

10人、いや11人だったか。周りの影から人が出てきた。
ソレと同時に、仲間達の引きつった声が聞こえた。
俺達の数は14人。しかし子供でまったく戦えない女の子もいるから実質戦力は10人である。対して相手は11人は全員戦うために訓練された兵士。

勝てるはずが無い。

『こ、こっちの方が数は勝ってるんだ!!』
『そうだ、俺達は仲間を見殺しにはしない!!やっちまえ!!!』
『『『おーーーーーーーーー!!』』』

勝てる…はずが無い。
情けないことに、俺の喉は声が出なかった。俺の体は動かなかった。大事な仲間がボロボロにされている中、ただ呆然と突っ立っていた。

―――――目の前で仲間達がボロボロにされていく。

『くそッ…!!!』

動け、動けよ俺!!そう念じ、心の奥で勝てないと分かっていながらも、がむしゃらに一人の兵士に体当たりをした。

『と…とと。あぶねーなァ餓鬼んちょ。』
『ヒッ…。』

分かってた。俺はこの時、この仲間達で一番年下。まだ人生10年も生きてない時。子供ごときが体
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